包丁と駒板のサイズにあわせてゆったり畳むのが基本
たたみのスタートは、生地の厚みを整える「本のし」の工程が終わったところからはじまる。本のしのフィニッシュは、生地を巻き取っためん棒を向こう側にして、手前のほうに生地を広げておいて、めん棒をバック方向に動かして最終ののしをするとよい。この方法だとほとんど直立のまま生地を仕上げることができるので、腰への負担がほとんどかからない。
そば打ち職人が腰を痛めるポイントは、大きく分けて二つある。ひとつめが、腰をかがめて行う位置にセットされた低すぎるこね鉢。上体の水平を維持する水回しの姿勢は、確実に腰をいためる原因となる。
もうひとつが、この本のしだ。この本のしを、のし台の遠くのほうで行おうとすると、適正加水の生地で本のしをしている間、上体の体重を全面的に生地し与えることができる生地ならまだしも、ずる玉で麺棒の重さだけで変形してしまうような生地をのさなければいけないとなると、生地には全く体重を預けることができず、したがってこちらも上体の水平を腰の負担で行う姿勢を強いられることになる。築地そばアカデミーの打ち方は、この部分を徹底的に改良して腰への負担を大きく和らげている。そして、本のしのフィニッシュが、ちょうどこれから説明しようとしている図のカタチになっていうというわけだ。
蕎麦生地のたたみ方……実践編
(1)巻き上げた生地を半分向こうに広げ(残りの半分は巻き取られたまま)、広げたところに打ち粉をたっぷりとのばしておく(2)麺棒の端を利き腕で持ち、巻き取られていた生地を逆回転させながらほどいて先に打ち粉を打った手前半分に重ね、ここだけはしっかりと指で押さえて折目をつける。そして畳まれた生地の右半分にたっぷりの打ち粉をのばしておく
(3)二つ折りになった生地の左半分を、打ち粉をのばした上に重ね(もう折目はつけない)、4枚重ねとなった生地の左半分に打ち粉をのばしておく。このとき、生地は正方形かやや横長の四角となることが望ましい(つまり、しっかりと幅出しができたというわけである)
(4)打ち粉を打ったところに残りの生地を重ね、これで8枚畳みが仕上がる。最後に生地を時計まわりに90度回転させて、右の端から包丁で切っていけばよい
いかがでしょうか。このたたみ方は、プロセス中に生地を動かす距離が最小で、しかも奥行が90センチしかないのし台でも、1m以上の横幅となった生地を畳むことができます。
500g打ちなど、少量の粉で打つ場合は、8枚だたみではなく、4枚だたみとすると、麺の長さが確保できる。その場合、(2)のステップでのばす打ち粉の位置が逆になる。
また、左手で包丁をもつ方は、この図をすべて左右逆に考えてプロセスを進めて欲しい。
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