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▲築地そばアカデミーにやってきたブラジル系アメリカ人シェフ
 Adrianaさんに撮っていただいた井上の麺のアップ。全長50cm以上あります。

長~いそばの打ち方



故新島繁先生の晩年の労作である「蕎麦の事典(柴田書店・平成11年刊)の【巻き棒】の項目には、『江戸風の打ち方で、主として生地を巻きつけるために使う、(中略)通常、長さは120cm(以下略)』とある。この短い引用で理解できるのは、江戸のそば職人はしっかりと幅出しをして、長~い麺線を切っていたということだ。

麺の長さは、実は、巻棒の長さに依存している。1.5kgの粉を麺にするとき、生地をこねて玉にし、それを厚さ5mmの真円に整形するとその円の直径は約62-64cm程度となる。さらにこれを1.5mm厚の正方形に本のしすると、四隅の丸くなった部分を勘案して仕上がった正方形の一辺は約100-105cmとなる。この生地を取り扱うためには、当然その巻棒をつかむために若干の余裕が必要ということになる。つまり、それが江戸の伝統の四尺(約120cm)であったというわけだ。

この四尺という巻棒の長さは、考えてみればいろいろな示唆に富むサイズである。いまポピュラーな方法として定着している方法も、実は理に適わないことが多々あるのではないかということを、先の新島先生の一文が鋭く示唆しているように思えてならないのだ。

今回の記事は、少々理窟っぽい。でも、興味のある方にはお楽しみいただける話題と確信している。

次のページでは、どうして長い麺をこしらえるために120cmの巻棒が必要であるかを図説する。

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