タイ料理に向いたワインとは
淡く線の細い風味のワインや芳醇で調和したワインを合わせると、魚臭さやハーブの鮮烈な香りなどタイ料理のにぎやかさに味わいのバランスを崩されてしまう。そこでタイ料理を美味しく引き立てるには、爽やかな香りや果実味がハッキリしたワイン、できればふくよかで柔かいタイプを選びたい。もうひとつは辛味について。刺激的な辛さの強い料理に、酸味やアルコール、二酸化炭素の多いワインは禁物である。辛味は一種の痛覚なので、ただでさえヒリヒリしている粘膜に強い酸やアルコールを触れさせれば、焼けつくような痛みを味わうことになる。ふだんは爽やかな泡も、強い辛味の後では火山の噴火のように感じることだろう。例えば切れ味鋭いシャンパーニュよりも、柔かく甘味のあるプロセッコの方が快適だ。
揚げたソフトシェルクラブも甘辛で食べる。甘辛酸っぱいタレは多彩なバリエーションがある。これもタイ料理の醍醐味 |
ワイン産地から考えれば、フランスの中ではアルザスの白やローヌの柔かい赤が挙げられる。どちらも辛口が主流だが選択肢が広い。ドイツやオーストリアの白は甘味の度合いが辛口・やや辛口・半甘口・甘口と幅広く選べるし、フルーティーでフレッシュな果実味は口の中を清らかに洗い流してくれる。オーストラリアやニュージーランドのフレッシュでよく熟したブドウを感じさせるワインもいいだろう。
このように、タイ料理を何倍もおいしく引き立てるワインは幾らでもある。最近はタイ料理店も心得たもので、ワインの揃えが充実しているところが増えた。家でタイカレーという時、レストランでディナーという時に、タイ料理には必ずワインを試してみることだ。
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