ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

ニュイ・サンジョルジュの魔術師たち(4ページ目)

ブルゴーニュ現地取材シリーズ。今回はニュイ・サンジョルジュのワイン試飲会場で出会った生産者の顔と2006年のワインをレポート。この赤ワイン、飲まなきゃ損ですぞ!

執筆者:橋本 伸彦

官能性とフィネス

エティエンヌ・グリヴォ氏
ニュイ・サンジョルジュらしい土臭くて濃厚な風味。それでいて味わいに端正さを感じさせるのが、『ジャン・グリヴォ』のワインである。プリュリエ、ロンシエール、ブードなど1級畑を味わって、最近の造りの変化を感じた。参考に並べて試したブードという畑の1994年・2004年・2006年はそれぞれかなり違う。果実味や樽香より酸味や芳香を中心としたエレガントな造りに移行しているのである。

当主のエティエンヌ・グリヴォ氏に理由を聞くと、「生産者はいつも同じではなくて、常に発見をしていかなくてはいけない。若い頃は目に見えた変化を追い求めるものですが、年を取ると精神面が重要になるのです」と諭された。ではあなたはどんな味わいを追求しているのかと尋ねると「それは、バランスと調和、そして官能性とフィネス(洗練性)ですよ」とほほ笑むグリヴォ氏である。なるほど彼のたたずまいのような、さらりと優雅な味わいである。

→ Page 5: 村の祝宴であの人を発見!
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