ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

ニュイ・サンジョルジュの魔術師たち(3ページ目)

ブルゴーニュ現地取材シリーズ。今回はニュイ・サンジョルジュのワイン試飲会場で出会った生産者の顔と2006年のワインをレポート。この赤ワイン、飲まなきゃ損ですぞ!

執筆者:橋本 伸彦

クラシックな濃厚さ

ドゥニ・シュヴィヨン氏
大地の香りや分厚いとろりとした果実味を持つ、クラシックなスタイルだったのはドメーヌ『ロベール・シュヴィヨン』。弟のベルトラン・シュヴィヨン氏と共に栽培・醸造を手掛けるドゥニ・シュヴィヨン氏は真剣な眼差しでワインを注いでいたが、ワインについては多くを語ろうとはしなかった。

しかしワインは雄弁である。1級畑レ・ロンシエール2006年はぐっと中身の詰まった、濃厚でなめらかな飲み口で、飲んでいてホッとする。伝統的なテロワール(地域性)を色濃く反映した、素朴で温かいキャラクターなのだ。

シュヴィヨン氏が同じワインの2000年を注いでくれた。外観からして美しいレンガ色に熟成して、豊かな熟成香がスパイシーでスモーキーな味わいと渾然一体となっている。誰もが爽やかでエレガントな味わいへと移行する時勢にあって、シュヴィヨンのスタイルこそニュイ・サンジョルジュの醍醐味である。

アクセントを効かせた味わい

ピエール・グージュ氏(手前)と息子のグレゴリー
ドメーヌ『アンリ・グージュ』を従兄弟(クリスチャン・グージュ氏)と共に運営するピエール・グージュ氏は、ワイン造りについて事細かに説明してくれる。「人為的な介入は少ない方がいいんだ。ブドウの選果や除梗はするけれど果粒はつぶさずに醸造するし、去年からはグラヴィティー・フロー(ポンプなどを使わず重力でワインを移動させる)方式に切り替えたよ」

単独所有の1級畑クロ・デ・ポレの2006年を試すと、ほろ苦くスモーキーでぴりっとしている。かなりきっぱりと力強い味わいだと思ったら、同じ畑の2005年ときたら、さらに口の中にしみるほどパワーがあって明らかに長熟タイプ。早く飲むならば2006年のほうが、バランスよく快適に飲めそうだ。牛肉が合いそうですねと言うと「うんうん、グリルなんか良いんじゃないかな」とのことだった。しっかりパンチが効いていながら、重すぎずキレがいい。こんなスタイルもあるのだ。

→ Page 4: スタイリッシュに洗練されたワイン
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