ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

ピノ・ノワールの巨匠フーバー

トップクラスのピノ・ノワールを造る男が、なんとドイツにいる。巨匠ベルンハルト・フーバーが最新作の畑名ワインを引っさげて来日し、自らのワイン造りを語る。

執筆者:橋本 伸彦

『ゴー・ミヨー』最優秀醸造家


「ピノ・ノワール種のワインはパワーではなくて、酸とミネラルが肝心」と語るドイツはバーデン地方の生産者ベルンハルト・フーバー氏。彼は2008年版のドイツワインガイド『ゴー・ミヨー』で最優秀醸造家に選ばれている。「私のような若輩がこんな賞をもらうとは、うれしいです」と控え目に語るフーバー氏だが、ピノ・ノワール種のブドウを使って世界でもトップクラスの赤ワインを造る彼に相応しい賞である。

ドイツワインの赤? という声が聞こえて来そうだ。「そんなものが存在するのか?」と思う人、あるいは「あの、色が薄くてやけに甘味のある赤か」と思う人も多かろう。フーバー氏のワイナリーは、フランスのアルザス地方と国境を隔てて接するドイツ南端のバーデン地方にある。ドイツの涼しい気候の中でも比較的温暖だから、涼しい気候が好きなピノ・ノワールなら充分コクのあるワインが出来るのである。

彼のいるマルターディンゲン村は、1285年に初のピノ・ノワールが植えられ、その後もこの品種が「マルターディンガー」と呼ばれてるようになったという記録があるほどピノ・ノワールの適地。古文書でこの事を読んだ彼は、協同組合にブドウを供給するのを止めて自分のワインを造り始めたのだという。


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