ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

ピノ・ノワールの巨匠フーバー(4ページ目)

トップクラスのピノ・ノワールを造る男が、なんとドイツにいる。巨匠ベルンハルト・フーバーが最新作の畑名ワインを引っさげて来日し、自らのワイン造りを語る。

執筆者:橋本 伸彦

テロワールと熟成の可能性

このように、たった4キロメートル四方に広がる4つの畑なのだが、それぞれの畑の環境と出来上がるワインの味わいは大きく異なる。彼の造るピノ・ノワールは、畑のテロワール(地域性)をきちんと表現しているのである。最初の数年は風味が閉じこもっているが、5年から10年ほど寝かせれば素晴らしいブーケを醸成するに違いない。

温和で物静か、内気にすら見える彼は栽培方法について「収量を抑えるとか、当たり前の事を徹底するのが大切」という。だが、彼は畑では厳格な完璧主義者だというから、かれの「徹底」は並みの「徹底」ではあるまい。

写真を撮られるのは苦手、なのだそうだ

ひとつ教えてくれたのはブドウの房の尻尾部分を切り落として房全体を球形に近い形状へと仕上げる方法を取っていること。ブドウの果粒は房の中の位置によって糖度や酸度そして味わいが違うので、こうすればより均等に仕上がるというわけだ。

これからはワインを熟成させる樽にもさらに工夫を凝らしていく。海抜500mにある林の特別なオーク材を知人から手に入れ、3年間乾燥させたものを2007年ヴィンテージから使用。バーデン産オークに加えて、フランスの4つの産地を併用して熟成させるという。

これからもフーバーのワインが向上し続けていくだろうから、これはもう、ブルゴーニュの生産者もうかうかしてはいられない。そして我々は、彼らの造るワインを味わって勝負の行方を見守らなくては損をするというものだ!


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