ワイン/ワイン関連情報

歴史的事件の仕掛け人・スパリュア氏を追う(5ページ目)

『カリフォルニアワインがフランスワインに勝利』の判定……世界のワイン観を揺るがした『パリスの審判』主催のスティーヴン・スパリュア氏が来日して開催されたセミナーとディナー。ここで下された審判はいかに?

執筆者:橋本 伸彦

タテルヨシノにてディナー

色からして濃厚な、熟成感のあるワインは……
緊張感あふれるセミナーを終え会場を芝公園のフランス料理店『タテルヨシノ』に移して、スパリュア氏を迎えてのディナーが開かれる。

スパリュア氏とは長い知己である有坂芙美子さん、ミレジムのアーネスト・シンガー氏、女優の川島なお美さんなど著名人を含む豪華ディナーは、なんとも贅沢な、一杯のよく熟成したシャンパーニュ……と見まごうほど見事なワインで始まった。

深い黄金色を帯びた豊かな色合い、泡の細かさ、そして液面にたゆたう姿に注目して頂きたい。味わいも見事である。写真のグラスからひとくち飲んでしまったのが見えるが、余りにも芳醇な香りに誘惑されてのことである。

「私のワインをお楽しみに」

ナイティンバー『プルミエ・キュヴェ ブラン・ド・ブラン』1999年
イギリス南部で造られたよく熟したシャルドネをシャンパーニュと同様の製法で仕上げたものである。冷涼な気候に耐えられるハイブリッド品種を中心に、グリーンフローラルな香りのワインが造られてきたイングランド。しかし南部にはドーヴァー海峡を隔ててシャンパーニュとつながる石灰質の地層があるのだ。

高緯度にありながら、暖流の影響で温かいイングランド南岸である。昨今の地球温暖化で、スパークリングワインの生産に条件が整ってきた。スパリュア氏自身もシャンパーニュのデュヴァル・ルロワ社とのジョイントベンチャーでスパークリングの生産に着手している。

「ナイティンバーのようにリッチなシャンパーニュ的スタイルではなくて、クレマン・ド・ブルゴーニュのようなスタイルにするつもり。そこでシャンパーニュの3品種に加えて、ピノ・グリを植えています。出来上がるのは7年位後ですからお楽しみに」と語りながら、旨そうにナイティンバーを啜るスパリュア氏。

ナイティンバーと共に楽しんだアミューズ・グール3品。左から『ガスパチョ』 『カワハギのマリネ』 『喜界島の仔ヤギのカルパッチョ』

食前の小さな楽しみは、かりかりしたタマネギの粒とぴりりとした辛味を隠した一杯のガスパチョ(野菜ジュースのような冷たいスープ)。カワハギの下に置かれた小さなサクサクのボールはジャガイモを中空に揚げたものである。カルパッチョはチーズの薄片が添えられ、それに釣り合う旨味と香りが感じられる肉である。

前菜はこんな魚介と白ワイン>>
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