ワイン/ワイン関連情報

歴史的事件の仕掛け人・スパリュア氏を追う(4ページ目)

『カリフォルニアワインがフランスワインに勝利』の判定……世界のワイン観を揺るがした『パリスの審判』主催のスティーヴン・スパリュア氏が来日して開催されたセミナーとディナー。ここで下された審判はいかに?

執筆者:橋本 伸彦

過熟香とオークの香りがある

スタッグスリープ・ワイン・セラーズ『SLV』2003年
スパリュア氏が「過熟(通常のブドウの熟し方よりもさらに熟させた)した香りやオーク樽の香りがある。これも良い畑を感じる」というスタッグスリープ・ワイン・セラーズが造る『SLV』は、ヴィンテージこそ違うがパリ対決で1位となり、フランス人を驚愕させ世界中を熱狂させたワインである。

香りは閉じている。するりとしなやかに口にすべり込んで来るが、すぐに濃厚さやきっぱりとした力強さが浮上する! このダイナミックさでは、このワインが群を抜いている。シルクのようにきめ細かい渋味は、色素と相まってインクのように濃い。しっかりとバランスや上品さもある。

「私のトップワインはこれ」

エラスリス『ヴィニェード・チャドウィック』2002年
「素晴らしい香り。レオヴィル・バルトンかと思ったくらいだ。リッチでバランス良く、渋味もまろやかで、野生肉や土の香りがある。ここはブドウの樹を植えたのがたった9年前なのに、こんなに素晴らしいワインを造っている。私がこの中で一番高く評価したワインはこれでした」

彼が2004年にベルリンで行なった「ベルリン・テイスティング」でボルドーのトップワインに勝って1位となったというこのワイン、私は最初、熟したトマトのような香りに驚いたが、その香りが飛んだ後は柔かく熟したレーズンのような果実味が際立ち、複雑さ、熟成感、バランス、上品さをきちんと併せ持つ、すばらしく澄んだワインに豹変した。

「ニッポン代表」は第4位なれど僅差

マンズワインの島崎大氏
参加者の採点を集計した結果は下記の順位となった。

 ■ 1位 スタッグスリープ (アメリカ)
 ■ 2位 レオヴィル・バルトン (フランス)
 ■ 3位 エラスリス (チリ)
 ■ 4位 マンズワイン (日本)

採点システムのせいもあるだろうが、4つとも得点の合計は各900~1,000点前後という僅差である。言わば「挑戦者」として比較試飲に参加したマンズワインの醸造家・島崎大氏がコメントした。ブドウ樹は1994・98・99年に植えたものだというから、これから樹齢が上がるにつれて更に品質向上が見込めるのではないか。マンズワインの健闘に、参加者からの拍手が送られた。

この晩のディナーはこう始まった!>>
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