ワイン/ワイン関連情報

歴史的事件の仕掛け人・スパリュア氏を追う(6ページ目)

『カリフォルニアワインがフランスワインに勝利』の判定……世界のワイン観を揺るがした『パリスの審判』主催のスティーヴン・スパリュア氏が来日して開催されたセミナーとディナー。ここで下された審判はいかに?

執筆者:橋本 伸彦

パワフルなミネラルと酸味

シャトー・モンテレーナ『シャルドネ』2005年
パリ対決で白ワインの1位になったのが、シャトー・モンテレーナのシャルドネである。近年のヴィンテージも、その酸味とミネラル感が鮮烈な上に、どっしりとした味わいはかなりエレガントにまとめられている。優れたワインならフランス産に違いないと考えたフランス人審査員が「ああ、これはシャブリのグランクリュか何かだろう」と見当を付けて良い点を付けたとしても不思議ではない。

これをマグロの赤身と合わせたのだが、マグロ赤身の酸味と呼応するかと思いきや、そうでもない。先ほどのカワハギの方が合うかもしれない。スパリュア氏も「この料理はおいしいけれど、油分やコクがあるのでシャトー・モンテレーナにはリッチ過ぎるかもしれない。魚ならどちらかと言えば白身、サンピエール(的鯛)などが合うのでは?」という。

『マグロ赤身とナスのミルフィーユ タプナードソース キャビア添え』

ジョゼフ・ドルーアンの『ボーヌ クロ・デ・ムーシュ』2004年
続いて、香水ならぬ新樽の香りをまとった美女の登場である。ジョゼフ・ドルーアンの銘酒『ボーヌ クロ・デ・ムーシュ』白である。モンテレーナと同じくシャルドネの若いヴィンテージだが、しなやかで、ふくよかで、味わい深い。気品と妖艶な魅力は、ブルゴーニュ屈指のレベルである。もう少し熟成させたら更に美味しくなるかも……なんて言う野暮はよそう。

たっぷりとヴォリューム感があり樽香の効いたシャルドネに、ゴージャスな甲殻類はまたとないお相手である。ここで合わせたのはオマール海老をいろいろと盛り合わせた一皿。

大ぶりなハサミと尾の身を盛り合わせ、コライユ(いわゆる脳味噌)はひらりと薄いラビオリ詰め、細かい身は肉団子のようにほろほろと固めてソーセージ仕立てでフワフワと泡のソースを載せてある。

『オマール海老のアンサンブル アーティチョークのピューレと共に』

添えられた、ほっこりと茹で上がったグリーンアスパラガスの繊細な旨味や甘味は、ワインともオマールとも快適に調和する。時間が経ち、ワインの風味がほぐれて来るにつれて、甘味のないハチミツのような芳香、ダイナミックな酸味のキレが現れる。これはまた、贅沢なワインだ。

メインディッシュと赤ワイン2種の競演>>
  • 前のページへ
  • 1
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます