ワイン/ワイン関連情報

歴史的事件の仕掛け人・スパリュア氏を追う(7ページ目)

『カリフォルニアワインがフランスワインに勝利』の判定……世界のワイン観を揺るがした『パリスの審判』主催のスティーヴン・スパリュア氏が来日して開催されたセミナーとディナー。ここで下された審判はいかに?

執筆者:橋本 伸彦

秀才と天才の仲を取り持つ仔羊

スタッグスリープ・ワイン・セラーズ『カスク23』2003年
スタッグスリープ・ワイン・セラーズは、パリ対決以来ワインの味がいまひとつ不調な時期もあったのだが、近年のワイン特にこのカスク23やフェイといったキュヴェは実に完璧に造られたワインである。

香りはどこに隠れているのか? ふとそう思うくらいに、閉じている。だが口に含めば、チョコレートのような芳醇さが口の中に広がる。がっちりとパワフルでオークの香りも効いていながら、まっすぐに心を揺さぶる味わいである。完成度が高いマシンのようである。言わば「秀才タイプ」だろうか。

魂に訴えかけるワイン

リッジ『モンテ・ベロ』2000年
それに対してリッジの『モンテ・ベロ』は同じカベルネのワインではあるが……スパリュアさん、どう対比されますかな? 

「同じカベルネの味わいで、どちらも非常に優れたワインであります。しかし深みではリッジに一分の利がある。言わば『ソウル・ワイン(魂のワイン)』。デカンター誌でリッジの醸造家ポール・ドレイパーに『マン・オブ・ザ・イヤー』を進呈した理由がお分かりでしょう」

そう、まるで骨董品のように味わい深い。気高い芳香と土やクリーミーな口当たりなど、複雑さを渾然一体としたクラシックなスタイルである。『カスク23』と比べればこちらは「天才タイプ」だろう。秀才と天才どちらとも馴染むのは、ジューシーに焼き上げた仔羊の背肉である。

『仔羊の背肉のロースト ペルシヤード風 マルシェからの野菜』

皿にどんと乗った分厚い身を、大きく切り取って口に放り込む。柔かいが適度な歯応えがあり、噛みしめると仔羊の香り高い肉汁がたっぷり染み出して口中を潤おす。花ズッキーニをコリコリと食しては、肉をワシワシ。ジャガイモのグラタンをカリカリ食べては、肉をワシワシと頬張る。そこには天才と秀才、両タイプのワインが控えている。どちらを味わっても、秀逸な味と香りのつむじ風が口中を吹き抜けるのである。

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