ワイン/ワイン関連情報

歴史的事件の仕掛け人・スパリュア氏を追う(3ページ目)

『カリフォルニアワインがフランスワインに勝利』の判定……世界のワイン観を揺るがした『パリスの審判』主催のスティーヴン・スパリュア氏が来日して開催されたセミナーとディナー。ここで下された審判はいかに?

執筆者:橋本 伸彦

あなたは全問正解?

ワインを当てなくてはならない。これが心地良いプレッシャーとなり、参加者はそれぞれじっくりとワインを見ては推測し香りや味わいを手がかりに推理する。色に3点、香りに7点、味に10点を配分した20点満点で採点し、合計点は10点~20点の範囲で採点した用紙が集められる。無記名ではあるがパリ対決同様、後から採点用紙を取り返すことは出来ない。

手品師のようにボトルを取り出し、試飲ワインの順番を明かす葉山氏。スパリュア氏とソー氏は自分のテイスティングノートを確認中

「さあ、答え合わせの時間です!」と葉山氏の宣言。お楽しみの正解発表である。たいていの参加者はこれはと思ったワインが自分の分析と違ったことに驚く。「パリ対決の時に審査員はたいてい『このワインはフランス産に違いない』と思ったものに高得点を与えていた。推測による思い込みは、間違いの元になる」とスパリュア氏。「私が間違えたのは、時差ぼけのせいですが」と冗句も忘れない。

素晴らしい香り

マンズワイン『ソラリス 東山カベルネ・ソーヴィニヨン』2002年
第一のワインは日本代表、マンズワインの『ソラリス』シリーズから東山カベルネ・ソーヴィニヨン2002年である。

スパリュア氏の分析は「色と香りが素晴らしい。これぞカベルネというチョコレートの香り。味わいがやや厚みや複雑さに欠けるのは、ブドウ樹が若いからか? 余韻がすこし硬く金属的な感じがある」と述べた。

私は香りになかなかエレガントで複雑な芳香を感じた。レーズンやプラム、黒いチェリーや乾燥イチジクといった果実味があり、味わいはアルコールや若いアロマもたっぷりあるのだが、やや酸化熟成が進んでいるようだ。

非常に良く出来たボルドー

シャトー・レオヴィル・バルトン2002年
ボルドーはメドック地区サンジュリアン村のシャトー・レオヴィル・バルトンの2002年はどうか?

「2002年はボルドーでは悪いヴィンテージ。だがこれは非常に上手に造られていて、原料ブドウが良い畑で造られていることが感じられる。良いのだがちょっと若くて、荒々しさがある。オーク樽の香りも馴染んでいない」

なるほど、抑制の効いた黒い果実の香りが若々しく、味わいはしっかりと濃厚で、アメリカンチェリーのようなしなやかな果実味が詰まっている。余韻は熟したレーズンのようで、若々しく元気よく酸味の効いた印象だった。まだ数年は熟成しそうである。

他の2つのワインの講評>>
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 8
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます