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『茶仏-お茶と寺廟のある風景』(2ページ目)

茶と仏教は切り離せない関係にあります。その茶と仏教に焦点をあて、様々な国を歩いたエッセイ『茶仏』は、お茶に興味のある方に是非読んでいただきたい本なのです。

執筆者:平田 公一

『茶仏』を読む


『茶仏』の目次

この『茶仏』の著者、宝迫典子さんは、台湾の絵本の翻訳もされていらっしゃるのですが、お茶に関しても茶藝師の資格をもつプロフェッショナル。

お茶フリークの中では、「しのわずり」というお名前でも知られています。

そんな彼女が日本・韓国・中国・ミャンマー・中央アジア・イラン・トルコを巡って、副題にもあるとおり「お茶と寺廟のある風景」を綴ったのがこの本です。

印象的なのが、まずは日本の茶史跡からスタートしていることでしょう。最澄が開いたといわれる日本最古の茶園「日吉茶園」を皮切りに、京都の高山寺、長崎の祟福寺、比叡山延暦寺など、茶にゆかりの寺院を訪問し、中国のお茶に思いを馳せます。

その後、韓国の茶のメッカ、智異山などを巡り、いよいよ中国大陸へ。

中国では、杭州、蘇州、安徽省、寧波、福建省、四川省から、貴州省や雲南省にまで脚を伸ばし、さらにシルクロードにまで脚を向けます。


貴州省の風俗

このように、福建省、雲南省、チベット、新疆ウイグル自治区でのお茶の風景を茶と仏教を中心に、宝迫さんがお茶にこめた思いや情熱を含め、エッセイとしてまとめた本ですから、読んでいて実際に自分も歩いているような気分になってきます。

宝迫さん自ら撮影された各地の風景の写真がたくさん掲載されていて、視覚的にも十分楽しめる本になっています。

さらに巻末には宝迫さんが回った場所がビジュアルに捕らえられるように地図が掲載され、また、アジア各地の茶葉の写真と解説も簡単に掲載されています。

ティーロードや、お茶の歴史、そしてなによりも、お茶の現場を知りたい方には是非お読みいただきたい本です。

 『茶仏―お茶と寺廟のある風景』
 著者:宝迫典子
 出版:佼成出版社
 発行:2009年11月
 定価:1680円
 ISBN-10: 4333024145
 ISBN-13: 978-4333024148
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