テイスティングに必要な条件と設備
テイスティングで好みのお茶を
茶葉のテイスティングは、テイスティングを行う者(「品評者」といます。)の視覚、臭覚、味覚、触覚に頼ることになるため、品評者はそれなりの訓練が要求されます。そのため、品評者は、常日頃刺激物を食べない、飲酒喫煙は控え健康を保ち、落ち着いた判断力を鍛えるトレーニングが不可欠なのです。
また、テイスティングを行う環境も非常に重要です。茶業試験場などに設置されたテイスティングルームは、日光が自然で均等、さらに十分回るように設計され、直射日光は当たらないようにされています。
厨房などの匂いの発生する空間から遮断され、清潔で空気の新鮮な環境が用意されます。
また、室内の色彩は白と黒に統一され、茶のサンプルや茶の水色を確認するときに色彩偏差が生じないように工夫されています。
テイスティングの手順
テイスティングの道具も工夫次第で
テイスティングに利用する器具はすべて規格が統一されています。
台湾では「鑑定組」と呼ばれる磁気でできた白い茶器が利用されます。
実際に利用する道具は、
・ 茶盤(茶葉を取り出す白い盆)
・ 鑑定組(白い蓋付茶杯、品評茶碗、皿)
・ ステンレスのスプーン(2~5cc)
・ タイマー
・ 天秤秤
・ アルミ製(又はステンレス製)の薬缶
・ 茶を吐き出すバケツ
などです。
用具を用意したら、茶盤に用意した茶葉のサンプルを天秤秤で慎重に3g測り、茶杯入れます。そのあと、150ccの沸騰した湯を茶杯に入れ蓋をすします。タイマーで6分間(茶葉によっては5分の場合もある。)計ります。このとき、複数の茶を同時にテイスティングする場合は、時間に誤差が生じないように留意して湯を注ぎます。
時間が来たら茶湯を品評茶碗に注ぎいれます。茶杯は茶碗の手前に置き、スプーンで茶碗の茶湯をかき混ぜ、茶滓を真ん中に沈殿させることで茶湯の色を見やすくします。
ここから実際の品評に入りますが、品評のポイントは
・ 茶葉の外観(10~20%)
・ 茶湯の水色(20%)
・ 香り(30~40%)
・ 味わい(30~40%)
・ 茶殻(参考程度)
の5項目で評価することになります。
外観は色合い、水色は透明度、色彩、香りは茶葉の発酵によるものか(製造工程で発生した焦げ臭、青臭さ、古臭さ、蒸れ臭さではないか)などをチェックします。
特に味わいは舌全体の感覚で評価することが重要であり、濃淡、甘潤、渋味、苦味、収斂味、茶葉特有の味わいなどを細かく確認します。茶湯を口に含む際には、思い切り空気とともに吸い込み、口全体で茶湯を回し味蕾をはじめとする味覚細胞に茶湯を触れさせ確認します。
茶殻は、その開き具合、色合い、製茶の完成度(品種、発酵度等)、香りなどを確認します。
このような観点で診断書に所見を記載しながらテイスティングを進めていくのです。これにより、茶の持つ特性などを性格に読み取り、目的に応じた評価を下していくことになります。
ここを読んでくださる読者の方にとっては、自分がおいしいと感じるお茶はどのようなものなのか、その傾向を知る意味でも、時々テイスティングをしてみるのも面白いと思います。また、数名のお友達とテイスティングをしてみると、それぞれのお茶でみな感じ方が微妙に異なっていたり、好き嫌いが違っているのが分かったりして、楽しいくテイスティングをすることも出来ます。
ただし、3gの茶葉を150ccの湯で6分抽出すると、普段飲むお茶よりもかなり濃くでるため、沢山飲みすぎると気分が悪くなったりしますから、無理をしないで、吐き出してください。プロがテイスティングする際も、沢山のお茶を比べるので、飲まずに吐き出すのが一般的です。もちろん、美味しいお茶なら、楽しみでテイスティングする場合は飲んでしまってもいいのですが。
自分ひとりでやるときには、テイスティングノートなどもつけてみると面白いでしょう。
<参考リンク>
お茶ノートをつけよう-テイスティングノートのすすめ
「ワインのテイスティングってなに?」は、お茶のテイスティングにも参考になります
お茶の香を表現してみよう