中国茶/中国茶関連情報

お茶の香のメカニズム(2ページ目)

お茶の香りははどんな成分によって発するのでしょうか?そしてそれはどのように生成されるのでしょうか?そんなメカニズムを探ってみました。

執筆者:平田 公一

茶に含まれる香気成分



雲南省の紅茶は、柑橘系の香りが強い


茶の品種によっても香気成分は明らかな差がありますが、製造工程に差がある緑茶、烏龍茶、紅茶を比べるてみると、日本の緑茶が最も香気成分が少なく、ついで青茶、紅茶の順番で、香気成分の含有量が増えていくことがわかっています。それぞれの茶葉から得られる精油の量は、生茶葉で0.02%以下、製茶された緑茶では0.005~0.02%、紅茶はこれに比べて0.01~0.03%程度であり、これは製茶の工程に原因があるのです。

生茶葉には約30種類程度の香気成分が含まれていますが、これらの成分は製茶の過程でそれらの成分が揮発してしまうため、それぞれ製茶されたお茶の香りも大きく変化するわけです。さらに、この製茶工程で新たな香気成分も生成されてきます。

中国茶や紅茶の場合は、日本茶のように蒸さず、釜などで炒られるため、生葉の精油の揮発が少量で済み、また、製茶工程で新たな香りも生成されるために、香りの多いものが多いのだといわれます。

具体的な香気成分は、名前を覚えるだけでも訳が分からなくなってしまいますが、代表的な香気成分を掲げておくと、I-ペンタノール(レモンのような香り。ただし、ある種不快臭がある)、メチルピラジン(こげ香)、シス-3-へキセニルアセート(大根に似た青臭)、シス-3-ヘキセノール(新緑の青葉臭)、リナロールオキシド(リナロールより青臭)、リナロール(すずらん、レモンローズのような香り)、シス-3-ヘキセニルヘキサノエート(一種青臭)、2-フェニルタノール(甘い芳香、ローズ、蜂蜜)、シス-ジャスモン(ジャスミンの香り)、ネロリドール(弱い快い香り)、インドール(青臭い重い香り)、ゲラニオール(バラに似た芳香、柑橘系の芳香とも言われる)などの香気成分が有名です。



同じお茶でも微妙に香りが違います


このように、様々な香気成分が含まれているお茶ですが、このうち、心地良く、香りのよい香気成分が多く含まれているお茶が、香りがいいお茶ということになります。

四川紅茶やダージリンなどの紅茶には、香水などのベースにも利用される香りのよいゲラニオールが多く含まれているといわれ、特にその品種が中国種の方が多く、一方で、アッサムなどには、すずらんの芳香といわれるリナロールが多いといわれています。

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