台湾での対応
無農薬の代表茶、東方美人茶(台湾・新竹縣)
一方台湾についてみてみると、中国に比べれば土地も狭い為管理が比較的簡単であることと、消費者の食品安全に対する関心も高いことから、農園ではより厳しい安全管理が必要とされています。したがって、中国産よりも台湾産の方が安全だという印象が強いのは事実でしょう。
しかしながら、一部では日本や大陸からの台湾烏龍茶への需要に対応するため、茶生産を増やそうと、この問題を軽視する業者も多々見受けられるため、台湾産輸入茶葉等から基準値以上の農薬が検出されてしまう事態が生じています。実際に台湾から輸入されたウーロン茶から農薬が検出された事例が今年度だけでも、モニタリング検査で8件も違反事例として挙げられています。
管理された茶葉工場で、作業が行われる
この問題への対策案として、台湾の農業委員会では平成19年7月より、海外へ輸出する全ての農産物に対して、出荷準備終了後に残留農薬検査を実施させ、政府の許可が出たもののみ出港出来るという措置を取るという案が出されました。これに対しては、行き過ぎではないかと言った声や、現場での混乱もあり、結論から言うとまだ規制の内容が決定しておらず、実施に手こずっているとのことです。
混乱の原因になったのは、「台湾から輸出する際、どのような手段であっても(郵便を含む)輸出前に検査をし、政府の認定を受けたもののみ出国を許可する」としたためだといわれ、少量で輸出している農家をまとめる8つの地方農業委員会から「少量でありながら検査をしなければならないと、コストが高くなり、利益がなくなる」との反対があったために、実施に向けて議論が紛糾しているのだそうです。
台湾行政院農業委員会から出された久順茶行が行った
自主検査の結果通知。農薬は検出されなかった。
このところ、台湾産の烏龍茶に関しては、全件検査の結果、それほど多くの違反事例がなかったことから、台湾政府も結論を先延ばしにしてきたようですが、今年になって、有名な茶館から出荷された茶葉が日本の検査で違反とされ(4.6kgの茶葉になんと3ppm以上のブロモプロピレートが検出された)たため、農業委員会は再度会議を開き、今後の規制方法について議論をする予定とされています。
「出国前に検査をし認定する」という案が最終的に適用されるかどうかは疑問ですが、このような措置が実行されることは、消費者としては歓迎すべきことであり、引き続き、輸出国側での厳正な対応が望まれるところです。その際には、そのような措置が茶葉の価格上昇につながらないことを願いたいと思います。
<関連リンク>
行政院農業委員會茶業改良場