茶海、茶盤、その他の茶器
いろいろな茶海があります
茶壷あるいは蓋碗に茶杯があれば、中国茶は基本的に淹れることができます。しかし、もう少しだけこれがあるととても便利という茶器がありますので、ご紹介しておきましょう。
■ 茶海
中国茶を茶壷で淹れるとよくわかるのですが、最初のほうに注いだ茶と後のほうに注いだ茶では、その濃さが違います。ですから茶壷から茶杯直接茶を注ぐ場合は、少しずつ複数の茶杯に何度も茶を注ぎながら茶の濃さを均等にしていきます。
中国の工夫茶では、茶の濃度が均一になるように数回にわけ蓋碗から丁寧に同じようにそそぎわけることを「関公巡城(かんこうじゅんじょう)」と呼び、最後の数滴の茶は一番濃厚で美味しい部分であるから各飲杯に1滴ずつ入れることを「韓信点兵(かんしんてんぺい)」と呼びます。関公とは、中華街の関帝廟に祭られている神様「関羽」(三国志で活躍した武将)のことで、関公巡城とは関公が城を巡視する様に見立てて名付けられました。また、韓信点兵とは、やはり三国志で活躍した武将韓信が将兵を点呼する様にみたてて名付けられたものです。
しかし、慣れないとこの作法はなかなか難しいわけで、もっと手っ取り早くお茶の濃さを均一にする方法として、紅茶のダブルポットのように、いちど茶を全部別の器に注ぎ、そこで濃さを均一にしてから茶杯に注ぐ方法が考えられました。このときに使うのがミルクピッチャーのような形をした「茶海(ちゃかい)」です。
もともと、英国で使われていたミルクピッチャーがヒントで作られたという話もあり、主に、台湾茶藝で使われていましたが、最近は大陸でも使われるようになりました。
茶海にもいろいろな形、素材のものがありますが、これも好みで選ぶとよいでしょう。
■ 茶盤、茶船
茶壷の下の皿が茶船です
さて、中国茶の場合は高温の湯を注いで茶を抽出することが多いため、茶壷の上から湯を注いだりしますが、そのときの受け皿になる茶盤(ちゃばん)あるいは茶船(ちゃふね)があると便利です。これは竹製、ステンレス製、陶器製、磁気性など、様々な素材で作られています。
自分が普段お茶を淹れる環境を念頭に、大きさや素材を選ぶとよいでしょう。カレー皿ぐらいの大きさのやや深みのあるお皿があれば、十分代用できますので、そんなお皿を選んでみるのも面白いかもしれません。
■ 茶漉し、茶則、茶通
左から茶通、茶挟、茶則、茶漉し
また、茶の屑が入らないようにするための茶漉し(「ティーストレーナーのすすめ」参照)や、茶葉を茶缶から取り出して茶壷に移すための茶則(ちゃそく)、茶壷の口に詰まった茶葉を取り除いたり、茶壷の中の茶葉をひっくり返したりするときに使う茶通(ちゃつう)、茶葉を挟んだり茶器を挟むと気に使う茶挟(ちゃきょう)などの道具もあると便利です。
以上のような道具があれば、中国茶を簡単に淹れることができます。そのうち、自分の気に入った茶器をあれこれそろえることが楽しくなったりしますので、まずは、あまりあれこれ悩まず、気に入ったもの、使い勝手のよさそうなものを選んでみるのがよいでしょう。
また、中国茶の茶器は、様々なもので代用できます。煎茶の道具、日本茶の道具、さらには、似たような形のしゃれた食器など(茶海などは、デザインのよい西洋のミルクピッチャーを使ってしまうというのも手です。)を使ってみるのも面白いでしょう。
面倒な方には、茶壷、茶海、茶杯などがセットになった茶藝セットのようなものもありますが、私の経験からすると使っているうちに飽きてしまうことも多いので、あまりお勧めしません。それよりも、専門店にいって、いろんな茶器の中からそれぞれ気に入ったものを選んでみるのが楽しくて長く使えるのではないかと思います。
お茶を飲む場合、マグカップに茶葉を放り込み湯を注ぐやり方でも十分おいしいお茶が飲めますので(「マグカップ茶のすすめ」参照)、「茶器は揃えなければならない」とはいいませんが、素敵な茶器をいろいろと選んでみる楽しみも中国茶の楽しみの一つですから、これから中国茶を楽しみたいという方は、是非いろいろと試してみてください。
なお、中国茶器を購入する場合、ネットオークションで購入して見るという手もあります。このあたりは、All About[ネットオークション]ガイドの堀切さんのサイトで学んでみてください。
<<関連サイト>>
All About[ネットオークション]ガイドの堀切さんのサイトで中国茶や茶器の買い方を学ぶ
茶器の基本については、「中国茶の世界」の中国茶器や、All About[中国茶]の茶道具、茶道具を買うなどをご覧ください。