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安吉白片と安吉白茶(3ページ目)

たった一文字違いのこのお茶、同じお茶?それともまったく別のお茶?そんな疑問を追ってみました。

執筆者:平田 公一

安吉白茶

安吉白茶
一方、安吉白茶は、海抜800メートルの天荒坪鎮大渓村で発見された一本の野生白葉茶樹を親木として、挿し木によって増やした茶樹から作られる茶だと言われています。

樹齢1000年近い茶樹から育てられたこの「白葉茶樹」は、「白葉一号」として1988年に「浙江省貴重茶樹良種」に認定され、また、2001年2月には、原木の「白葉茶樹」が中国で初めての茶葉原産地保護証明商標を得ました。

非常に特色のあるこの茶樹は、宋代の『大観茶論』という茶書に「永嘉県の東の三百里は白茶の山がある」と書かれていたものではないかといわれていますが、真実は不明です。

この品種の特徴は、気候により茶葉が変化することです。春に15度以上になると芽が黄色からクリーム色、さらに白色に変化するのだといいます。何でも気温の変化で葉緑体の発育障害が発生してしまう突然変異の茶樹で、アミノ酸の含有量が他の茶の約2倍から3倍なのです。

そのため、生産できる期間は短く、清明節(旧暦春分後15日)前から4月中旬の穀雨の頃までの一ヶ月前後しかありません。このことが、安吉白茶をさらに貴重なものにさせています。

安吉白茶は、通常の炒青緑茶同様、茶葉を摘んだら、すぐに高温の釜に入れて火を通し、その後温度を下げていきます。その後、小型の乾燥機を利用し乾燥し、一端放置した後再び乾燥して製茶されます。

安吉白茶も、様々な省を受賞しており、1999年から毎年で国際銘茶コンテストや「中茶杯」など数々の品評会などで優秀な成績を収めています。

安吉白茶は、細長く、美しい翡翠のような緑色をしています。湯を注ぐとグラスの中で葉が広がります。青みのあるさわやかな香りと柔らかい甘みがあり、飲むと芳醇な香りが口の中に残ります。

両者の違い

では、安吉白片と安吉白茶の違いを整理してみましょう。

  1. 品種が違う
    安吉白片:龍井43号と迎霜
    安吉白茶:白葉一号。
  2. 製茶法が違う
    安吉白片:炒青と[火共]青の組み合わせ
    安吉白茶:炒青緑茶
  3. 価格が違う
    安吉白片:他の緑茶とあまり変わらない。
    安吉白茶:非常に高価
  4. 成分が違う
    安吉白片:龍井などの茶と同じ
    安吉白茶:アミノ酸の含有量が2~3倍


このような違いがある安吉白茶、安吉白片ですが、個人的な感想を掲げると、安吉白片の方が飲みやすいお茶のような気がします。

扱っているお店があまり無いので、飲んだことの無い方も多いと思いますが、是非機会があったら、飲み比べてみると面白いでしょう。たった一文字「片」と「茶」の違いでも、こんなに違うお茶なんですね。
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