ティー、テは海路で
一方、福建省では、「茶」以前の「荼(と)」が使用されており、発音も福建省南部の訛が強く「テ」に近かったといわれます。アモイ経由で海路伝播した先としては、オランダ(テー)、イギリス(ティー)、ドイツ(テー)、フランス(テ)、イタリア(テ)、スペイン(テー)、ハンガリー(テア)、北欧(テ)などです。さらに、当時の強豪各国の支配下にあった植民地でも、たとえばマレー半島(テー)、スリランカ(テーイ)、南インド(テイ)と茶が福建語系の発音である「テ」をベースに伝播されています。
アモイから初めて茶を輸入したオランダは、ヨーロッパにおいてこれらの茶をドイツ、北欧、フランスなどに持ち込み売りさばいたといわれ、そのため、西ヨーロッパに福建省語の発音が広まりました。
また、イギリスも当初はオランダから茶を購入していましたが、自ら茶の輸入を始めた際(1650年頃)には、アモイなどの福建省の港から荷出しをしたといわれます。
このようにして、現在でも「茶」の発音は「チャ」と「ティー」、「テ」に二分されているわけです。
沢木耕太郎の名著「深夜特急」には、チャの地域からティーの地域へ渡った際の心情などが記載され、非常に興味深いですが、CHAとTEAを追って、世界を旅してみたいものです。