厚手のスタンディングパウチにパッキングされる |
さて、今回中国茶ガイド平田がお勧めするのは、阿里山茶坊の「杉林渓龍鳳峽高冷茶」。
日本においては、かなり早い段階から台湾各地の高山茶を扱ってきたのが阿里山茶坊です。以前、オーナーの張さんにインタビューもしたことがありますが、茶葉も茶器も一級品を取り扱っているおすすめのオンラインショップなのです。
阿里山茶坊では、今人気の大禹嶺、福寿山、武陵山などの超高級烏龍茶も扱っていますが、その中で、「杉林渓龍鳳峽高冷茶」に焦点をあててみました。
杉林渓龍鳳峽高冷茶 |
高冷茶とはなあに?
ところで、最近台湾のお茶も様々な名前がつけられているのを見かけます。基本的には日本茶と同じようにどこで作られたかということをアピールする「産地」の名前を冠につけているものが圧倒的に多いことには、皆さんも気が付くでしょう。「杉林渓龍鳳峽高冷茶」は、ご存知のとおり、凍頂烏龍の産地で有名な南投縣鹿谷郷の西隣、竹山鎮の杉林渓(Shan-lin-xi)という地区で作られる烏龍茶です。さらに、杉林渓の中にもたとえば「番仔田」、「大鞍」、「三層坪」などの地域がありますが、このお茶はその中でも人気の高い「龍鳳峽」という茶区で作られているということを示しています。
そして「高冷茶」というのは、いわゆる「高地の気温の低いところで作られるという意味」の言葉ですが、これは「高山茶」と同義だと考えてよいでしょう。
したがって、「杉林渓龍鳳峽高冷茶」とは、「南投縣竹山鎮杉林渓の龍鳳峽茶区で作られた高山茶」ということになります。
ビロードのような茶底 |
「杉林渓龍鳳峽高冷茶」の味わい
台湾の高山茶数ある中で、今回杉林渓を取り上げた理由は、一言でいうと「おいしくて価格パフォーマンスがよい」から。阿里山茶坊のお茶は、高山茶の特徴を生かした清香のものが多いのですが、その中でもこの杉林渓龍鳳峽高冷茶は、茶葉そのもののよさを体感できるできのいいお茶だと言えるでしょう。さて、肝心の杉林渓龍鳳峽高冷茶の味わいはというと、透明感のある清らかなお茶という表現がぴったりのお茶です。40%程度の発酵を施してあるからか、清香だからといってそれほど青みが強いわけではなく、さらりとした喉越しがさわやかなお茶なのです。
こんな味わいが出せるのは、おそらく丁寧に茶が作られているからでしょう。阿里山茶坊の張さんによると、このお茶は、標高1850mの杉林溪龍鳳峽茶區で有機管理をされた茶葉を、2005年4月20日の午前10時から午後2時の間に一芯二葉で摘んで緑水半發酵とよばれる方法で仕上げたお茶なのだそうです。品種は「軟枝烏龍」。
午前10時から午後2時の間にお茶を摘むのが、一番香りや味わいを良く出すことができるのだそうで、現地では「午時菜」と呼ばれているそうです。
清香系のお茶は、いつも蓋碗で楽しむのですが、まず驚くのが、午時菜のお茶だからか、綺麗な緑色の濃い茶底(茶殻)を触るとまるでビロードのような手触。その茶葉の実力を遺憾なく発揮して、何煎も入れることのできる強さもあるお茶であることがわかります。
煎を重ねるごとに微妙に変化する香りも楽しみの一つ。茶水もやや黄色味を帯びた色をしていますが、この色からは想像できないほどのさわやかな味わい。アイソトニック感の強いお茶といえるでしょう。
だから、この「杉林渓龍鳳峽高冷茶」は、いろんな高山茶を飲んだ方にもおそらく透明度の高いお茶として評価してもらえるのではないかと思います。