春風秋月の観音王
 中国茶ブームも一段落し、ネットでは中国茶専門店の淘汰も始まっているこの頃ですが、それだからこそ、それぞれのお店では工夫を凝らし、おいしいお茶を取り上げる努力が見受けられるようになりました。

 そこで、今月から月に数回、日本で入手できるお勧めのお茶を取り上げてレポートすることにしました。

 初回の今回ご紹介するのは、日本では「中国茶といえば鉄観音」と言えるほど昔から代名詞のように知られていた安渓鉄観音です。その中でも絶妙な焙煎がすばらしい「春風秋月」の「観音王」を取り上げてみました。

 香港の伝統が生きている鉄観音

 安渓鉄観音のといえば、ここ5年ぐらい、とても青みの強いものがいろいろと日本に入ってくるようになりました。くちなしの花のような香りのものから、草のような味わいのもの、さらに、独特の酸味があるものなど、同じお茶でも様々な味や香りのものが存在します。

鉄観音はくるくるとした茶葉が特徴
 そのため、中国茶専門店に行って、そのお店のお勧めの安渓鉄観音を試してみるのがとても面白いのですが、そんななかでも「春風秋月」の「観音王」は、他のお店とは一線も二線も画す香りと味わいのお茶です。

 もともと鉄観音が日本に入ってくるようになったのは、華僑の人たちが持ち込んだからだという話があります。中国から世界中に広がった華僑の人たちの多くが、亜熱帯の気候の中でも一年中お茶を飲んでいられるように、比較的強い焙煎を施した鉄観音を好んで飲んでいたからだそうで、そんな華僑のお茶好きの中心は香港でした。

 安渓の地から香港に持ち込まれたお茶は、それぞれの茶荘で独特の焙煎を施され販売されています。それらは、ほうじ茶の多様性と同じように、カカオのような濃厚な味わいのものから、ほんのりと上品に焙煎の施されたものまで様々ですが、その多くが比較的しっかりと焙煎の施されたお茶であるのが香港の鉄観音の特徴です。

 そんな香港の焙煎の伝統を引き継ぎながら絶妙な焙煎を施したのが「春風秋月」の「観音王」なのです。