いろんなヒントをくれる先代ご主人
▼ 粋人の先代ご主人
私がプーアールにも興味があると知った奥さんは、わざわざ先代のご主人を引っ張り出してきてくれました。先代は広東語がメインのようなので、奥さんが英語で通訳してくれるのですが、プーアールの良さや良し悪しの見分け方など、数種類のお茶を比較させてくれて、予算に合ったお茶を紹介してくれます。わざわざ高いものを売りつけようとするお店が多い中、こんな親切なお店は本当にありがたいものです。

この先代、なかなかな粋人で、茶のパッケージのイラストはご自分で手掛けたとのこと。茶商人というだけではなく、自分が茶を嗜む茶人の顔を持っているのですね。香港にはこんな茶商が何人もいることが判って、嬉しい発見でした。

老舗らしく、お茶を量り売りで買
うと、昔風の秤で計ってくれます
▼ おいしいことが一番大切
このお店のお薦めは、白茶だけではなく、プーアルや鉄観音もお勧め商品。甘い香りの黄金桂、やさしいジャスミン茶など、様々なお茶が並びます。

特にプーアール茶のヴィンテージものなども奥から取り出してくれて見せてくれます。そんなもを興味深く拝見していると、先代から「日本では熟茶とか生茶というのがはやっているのかい?」などと聞かれて、たしかにそのとおりと答えると、「どちらでも美味しければいいのだよ。」と諭されてしまいました。

「新しい青餅は、とても渋みがあるからね。若いものを飲むときには、熟餅をブレンドすると美味しく飲める。」なるほど、おいしく飲むためのブレンドというのは、こういうところで生きてくるんだなと再認識。普段私たちは「熟茶は偽者」とか「生茶でないと良いお茶ではない」と思い込みすぎているのかもしれません。こんな先代のおいしく飲む「工夫」やそのための「試み」ははっとさせられるものがありました。



緑茶から紅茶まで
豊富な品揃えです
▼ 老舗のこだわり
お店で試飲させてもらっている間にも、地元の人が次から訪れる林奇苑茶行。地元密着でありながら、さらに観光客にも同じように接するフレンドリーさ。そこにいることがとても気持ちいい茶荘は、非常に貴重な存在です。

香港で回った他の茶荘のオーナーたちに聞いても、このお店の悪口を言う人は誰もいません。「あの老舗は頑張っているね」という褒め言葉さえ聞こえてくるほど。地元の人たちにも受け入れられているお店です。「おいしいお茶を楽しく提供していくことが、私たちの使命だからね。それは地元の人であっても日本から来た人であっても、同じだよ。私たちのお茶をおいしいと飲んでもらえるのが、とてもうれしいことなんだ。」そう先代はにこやかに話してくれました。

昔からの顧客を大切にしながら、新しいニーズも取り入れていく、そんなしたたかさと、「おいしいお茶」を大切にする精神、そこに老舗のこだわりを見た気がしました。



 ▼ 林奇苑茶行
 住所:香港上環文咸東街105-107號地下
 電話:2543-7154
 営業:9:00~19:00
 定休:日曜



 Hong Kong Tea Shop & House

 Vol.1 三思堂
 Vol.2 明茶房


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