清代から親しまれた岩茶
清代の美食家として有名な袁枚(えんばい)は、龍井茶(ろんじん茶)、常州陽羨茶(じょうしゅうようせんちゃ)、洞庭君山茶(どうていくんざんちゃ)などを好んだようですが、この武夷岩茶に対しては、最大級の賞賛の言葉を「隋園食単(ずいえんしょくたん)」という書物に残しています。彼は、岩茶の素晴らしさを「まずその香を嗅ぎ、それからその味を試み、徐々に嚼みしめてこれを吟味すると、なるほど清香は鼻を撲って、舌に甘みが残る。一杯の後、重ねて一、二杯を試みるに、人心を平静ならしめ、情性を悦楽せしめる。」(「隋園食単」岩波文庫237ページより引用)と表現しています。
袁枚にも愛された岩茶は、その数が非常に多いといわれています。武夷山中に生えているブッシュの一本一本がすべて異なる茶で、様々な名前が付けられているのです。慧苑岩(すいえんがん)の蜂巣坑(はちのすこう)には鉄羅漢(てつらかん)、慧苑岩の火焔峰(かえんほう)下の外鬼洞(がいきどう)には白鶏冠(はっけいかん)といったように、どこの岩にこのお茶という具合に生えているのが特徴です。
■ 岩茶の種類
岩茶には、上奇種、奇種、名種、小種という種類があり、上奇種から順に品質が低くなっていくと言われています。これらをすべてあわせると数百種あるといわれます。
また、作られる場所によって、正岩茶(中心部産)、半岩茶(山麓茶)、州茶(周辺の茶畑産)と茶葉の採れるところによって等級化されています。
その中でも、上奇種であり、もちろん正岩茶である4大岩茶と呼ばれるのが、「大紅袍(だいこうほう)」、「鉄羅漢」、「水金亀(すいきんき)」そして「白鶏冠」です。
■ 身体とこころを暖める「おすすめ岩茶」
数ある岩茶の中で、その頂点に位置しているのが、大紅袍です。天心岩の九竜窟の壁面上に育っている、四株の天然木で樹齢350年以上の茶樹から採れる茶葉ですから、ほとんど私たちの口には入らない代物です。そのため「幻の岩茶」といわれていますが、今ではこの茶樹から挿し木した第ニ世代、第三世代のお茶が栽培されており、市場でも見かけるようになりました。しかし、大紅袍をいきなり勧めるのも気が引けるので、まずは入手しやすい「肉桂」、「金鎖匙」、「北斗」などの岩茶から試してみてはいかがでしょうか?
身体や心と同じように、懐も寒くい人には、例えば、「黄旦」、「不知春」、「金柳条」などの岩茶はいかがでしょうか?いわゆる「奇種」のお茶になりますが、質の良い物でも、「上奇種」の「四代岩茶」に比べれば、数段値段は安く、そして、香りや味は負けないものがあります。
これらの岩茶は、今では多くの茶荘で取り扱っていますので、是非まだ飲んだことが無いという方は、一度試飲をしてみてください。岩茶の専門店も日本には3軒あります。老舗の「岩茶房」(東京目黒)、その系列の「岩茶沙龍」(京都)、そして神戸岩茶荘FANFAN(神戸三ノ宮)。これらのお店では、沢山の種類の岩茶が飲めますし、販売もしています。
寒い冬の夕暮れ時、こんな岩茶で、身体と心を温めてくださいね。
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