月餅は中秋節の定番♪
日本では、たいてい真ん丸い月見団子にススキを供えてお月見というのが秋の行事のひとつです。地方によっては、豆や芋をお供えしたり、早稲(早く収獲した稲)を供えるなど、農作物の収穫と関連した行事として催されてきました。ところが中国では、中秋節には月餅を供えるのが定番です。香港などではMoon Cakeと呼ばれる月餅は、古くから中秋節と深い関係があるのです。中国では中秋節が近づくと、食料品店の店先に月餅が山積にされます。有名店では、普段お世話になった方への贈り物としたり、お月見の際に供えるために予約をする人達で行列が出来たりするそうです。
さて、中秋節に月餅を食べる習慣は、一体いつ頃から始まったのでしょう?伝説によると唐の高祖李淵が中秋節に宴を開き、「圓餅を捧げて蟾蜍(せんじょ:月の別称。ヒキガエルの意味もあるのですが、これは前のページの嫦娥伝説を参照。)を迎えよう」と吐蕃(とばん)の商人の献上した圓餅を満月に向けて差し上げたのち、これを家臣とともに食べたのがその始まりだと言われています。
またこのお菓子には有名な逸話もあります。元代の末期、漢民族が元王朝の打倒を目論んでいましたが、元に派遣されていた漢民族の張士誠が、挙兵の日を印した各地の同志への手紙を季節菓子の麦餅の中に入れて兵達に配りました。示し合わせたその日に朱元璋らが率いる漢軍が一丸となり蜂起し、ついに明を起こしました。その時の麦餅が月餅であったといわれています。
「月餅」という言葉自体は非常に古くから在りますが、いまのお菓子を月餅と呼ぶようになったのは、明代以降のこととされています。
さて、、この月餅には廣式と蘇式の2種類があります。廣式月餅は、文字や模様の彫られた木型に入れて作るもので、日本でも一般的に売られている茶色い皮の月餅で、広州を発祥とし広がったものです。一方、蘇式月餅とは、薄いパイ皮でできているお菓子で、蘇州を発祥とし広がったものです。現在では、中国でも廣式月餅がポピュラーなものとして知られています。
なお、月餅の中身は、餡子のほかに、ココナッツ、蓮の実、胡桃、杏仁、木実、塩蛋を入れたものなど、様々なバリエーションがあります。 最近ではこの時期ハーゲンダッツが月餅型のアイス(冰皮月餅)などを販売しており、伝統にこだわらない新しい形の月餅が出現しています ♪
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