パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

アール・ドゥ・パン【新横浜】(2ページ目)

親子揃ってフランス国家最優秀職人(MOF)の称号を持つドルフェールさんがアルザスで営むArt de painが今春、新横浜に日本初出店。高島屋のフランス展出店や来日インタビューをまじえてご紹介します。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

アール・ドゥ・パンでおすすめのパン

タカシマヤ フードメゾン 新横浜店内にあるアール・ドゥ・パンの常設店は、とてもちいさなお店です。小さいショウケースがひとつと、量り売りのプティサイズのパンが並ぶスペースで成り立っています。これだけ?と思ってしまうかも。でも一味違うパンが並びます。

個人的に、一番のおすすめはパン・ア・ラ・ビエールです。木からとったままのリンゴとブドウのジュースと小麦粉から起こした自家製のルヴァン種を、酸味のもととなる酢酸菌を抑えるように管理して用い、生地にはライ麦粉と、ドルフェールさんが大好きなジャガイモのピュレが入っています。表面はアルザスの特産品であるビールを使ったトッピングでひび割れた模様に。柔らかく、香り高いパンで、プティサイズのものはアルザスの星付きレストランにも卸されているそうです。わたしはこれにオリーブオイルをつけて食べるのが好きです。

パン・ア・ラ・ビエール(315円) 

バゲット・カンパーニュは上記のパン・ア・ラ・ビエールのバゲット版。ライ麦は20%で香ばしくしっかりした味わいが、さまざまな料理と合います。クラムはもっちりとした表相が美しく、職人の技を感じるバゲットです。

アール・ドゥ・パンには大きく焼いたブリオッシュが数種類あります。アルザスでは日曜日に家族や友人と一緒に、こうした甘いパンを愉しむ習慣があるのだそう。ブリオッシュ・カネルは仕上げにシナモンシュガーと生クリームをかけて再度焼成するという製法。ブリオッシュじたいはリッチすぎず、軽やかながらもしっとりとした食感です。

クグロフはアルザス伝統の発酵菓子。ラムレーズンとバニラがゆたかに香ります。そして、ラムが香るといえば、プティクロワッサン。粉糖とラム酒のグレーズを表面に塗っているので時間が経つと白く結晶します。ドンクのミニクロワッサンはかなりの人気商品ですが、こちらのミニはここだけのもの。ちょっと大人の味わいです。

バゲットカンパーニュ(315円) ブリオッシュ・カネル(263円/1pc)
プティ・クロワッサン(189円/100g) クグロフ(525円)

他にはセーグル(プレーンとクルミ)やデェイフェル(ゴマや亜麻の実のついたフランスパン)など、少ないながら食事向きのパンはちゃんと揃っています。忘れてはならないのはグルマンディーズ。オリーブやラルドン(ベーコン)などをいれてねじって焼いたフランスパンで、こちらはアペリティフに向きます。

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