パンの気泡と製粉についてのQ&A講習会の間、バゲット、シャバッタ(チャバタ)、パン・ド・カンパーニュなどの断面を間近に見ました。こういう表層は、この粉を使うと簡単にできるものなのか、という疑問が浮かびます。木村周一郎氏(ブーランジェリーエリックカイザージャポン代表取締役)にうかがいました。 清水どうしてこういう気泡が簡単にできるのですか。 木村氏 「例えば日本酒づくりを想像してください。削米率が高ければ味は洗練され、低ければ雑味が増してきます。小麦では削る率が高ければ灰分が少なく白い商品になり、味と香りは洗練されます。低ければ灰分が高くなり黄色が勝り、雑味はましますが、粉のなかにおける酵母への栄養は増えます。 このブレンド加減が今回のモデルになっています。 また、小麦の表皮に付着している酵素はパン生地をやわらかくだれさせる活動をします。小麦粉の中にモルト粉末もはいっている為、酵素の活動は活発になります。生地がだれればその分、気泡は開きやすくなります。 このような"雑味と洗練"、"酵素の活動"、"製粉時の熱発生による成分の破壊"は大変研究しました。」 清水「製粉時の熱発生による成分の破壊」とお聞きすると、ゆっくり挽くことで摩擦熱がすくないと言われている石臼挽き粉を思い出しますね。 おいしいパンの条件でも、「長時間発酵に耐久性のある粉」と言われていたし、それは長時間発酵でも香りや味のとばない石臼挽き粉みたいですね。 木村氏「製粉速度は石臼などがやはりキーワードになっています。石臼挽き風というほうが正確かもしれません。詳しい製粉速度、上昇熱はいえませんが。そんな具合の小麦粉です。 今までは、どこ産の小麦、石臼挽きなどの製法、といった”入口”がメインでしたが、今回はそんなことよりもナチュラル、トラディショナルを五感で感じられるパンを作りたいからできたという”出口”からできた小麦粉なのです。だから今までとは発想が違うのです。」
スタイルに合わせて食事パンを選択できる時代より多くのパン屋さんに食事パンというものをつくっていただき、より多くの消費者においしい食事パンというものをひろめていきたい、と木村さん。食事パンのことを「口にした瞬間に食べ合わせの食材や食シーンが具体的にイメージされるパン。」と日清製粉の野村聡さんは言っておられました。ハード系の食事パンに風味の異なるバリエーションが生まれ、わたしたち生活者はスタイルやシチュエーションによってその中から贅沢に選べるしあわせな時代が到来したといえそうです。 メゾンカイザートラディショナル業務用取り扱いに関するお問合せ先 日清製粉株式会社 横田さん 電話 03-5282-6360 メゾンカイザートラディショナル(2005.3記事) メゾンカイザーCOREDO日本橋店 (2005.3記事) メゾンカイザー 日本風にアレンジすることのないパン (2002.3記事) ■メゾンカイザー公式サイト |
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