パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

この秋に変わるメゾンカイザーの小麦粉 メゾンカイザートラディショナル

古き良きフランスのパンの伝統を最新の技術で追求するメゾンカイザーでは、酵母に続いて、伝統の製法に合わせた粉とバターをプロデュースしました。復古調の小麦粉は全国のベーカリーに向けても発売されます。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

フランスパンの歴史とパンの色

メゾンカイザーではこの秋までに、パンの素材がエリック・カイザー氏プロデュースの小麦粉に変わります。
オーナーシェフの木村周一郎氏に、これからのメゾンカイザーについてお話を伺いました。

バゲットモンジュのクラムメゾンカイザートラディショナル

「この色。不思議だと思いませんか。小麦粉は白いのに。」
木村さんはバゲットを割ってみせてくれました。粗い気泡、クリーム色。 これは古き良き時代のフランスのパンの伝統製法をメゾンカイザーの最新技術によって再現したことによるものです。

フランスでは19世紀終りから20世紀にかけてパンに二つの大きな変化があったそうです。 一つはイーストの誕生による発酵技術の変化、もう一つは大戦で素材不足になり、真っ白な粉への憧れが生まれたこと。結果、白くきめ細かなパンの時代が到来し、フランスパンはその時日本に入ってきました。だから長いこと日本でフランスパンといったら白くきめ細かなパンということになったのです。

どんなタイプのパンが美味しいと思うかは人それぞれですが、ここ数年、食事パンを中心に売る店では生地の気泡が大きく、クリーム色がかったハード系のパンに人気があります。

常に安定した上質なパンを焼き続けるため、最新技術を取り入れたとしても、素材が合っていなくては安定した美味しさを出すことはできません。

メゾンカイザートラディショナルとファーメントバター

そこで研究が重ねられ、日清製粉との共同開発による新しい小麦粉、メゾンカイザートラディショナルが誕生しました。これは自社だけでなく全国のベーカリーに向けても、夏には売り出される予定です。

さらにこれに合わせてバターも作られました。昔ながらの製法のパンに合わせるバターは、昔ながらの機械、チャーンのある北海道の生産農家に作らせたファーメントバター(発酵バター)です。

エリック・カイザー氏と木村周一郎氏
200年以上前の小麦粉を時空を超えて再現する話。昔ながらの製法でバターを作る契約農家の話。

良いパンをたくさんの人に味わってもらいたいと考える人々によって、今この瞬間も開発されている素材たち。

メゾンカイザーのパンを手にすることがあったら、その生地を少しの間眺めてみてください。

長い長い歴史と、食に携わる多くの人の努力によって継承されていくパンの伝統の最先端が見えてくるかもしれません。

■メゾンカイザー

【関連記事】

おいしい食事パンのためにデザインされた小麦粉(2005.11記事)

メゾンカイザーCOREDO日本橋店 (2005.3記事)

メゾンカイザー
日本風にアレンジすることのないパン
(2002.3記事)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます