この連載も最終回(全3回)になります。
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コム・シノワオーナーシェフ、荘司索というひと


「自分ひとりでは想像もできないパンをうまく引き出してくれる人。」
コム・シノワ全店のオーナーで、現在はメリケンパークにあるThe Oceanのシェフ、荘司索氏のことを西川さんはそう言います。

インスピレーションを与え合いながら、料理とパンと菓子の夢を共有するとは、なんとしあわせな関係でしょう。

カボチャとオレンジのフォカッチャ、ポティロンエオランジュ(左)
カンパーニュにナッツ、レーズン、カボチャを巻き込んだトゥルビヨン(右)


西川(敬称略): 荘司シェフはフレンチのクラシックの中で、迫力のある、味も見た目も「こんなのあったの?」みたいな料理ばかり 作っていたんですよ。面白い感性を持っていると思っていたんですけど、10年位前からかな、徐々に変わってきたんですね。 レストランから離れて六甲の山に上がられて、オーベルジュで和に近いような中華のような料理を作られていた 時期があってね。

清水:模索中だったのですね。今の西川さんのように。

西川: そうだったら嬉しいですけど・・・まったく模索ですね。
でもそこには深い計算があったんです。
いろんなお客さんにいろんな角度からシーフードを託し、熟成させて、 山を降りてから神戸料理を極めた。完成したのがTHE OCEANの料理です。 高級魚でなくて、安い魚に手間をかけて美味しい料理を作られるようになったんですよ。


傘の柄のかたちのウヴリルは胡桃とレーズンのパン

僕らは以前のシェフの料理を見て「そのソースを持ってきたか!」「そういうアレンジをしたか!」「すごい発想やね!」と思ったけれど、その時はまだシェフが何かを求めて表現しようとしていたことに気がついていなかった。わかっていないのに、 おいしいとか荘司シェフらしいとか言って浅い部分で評価していたんだなぁと思いました。

THE OCEANではもう全て淘汰された後の表現としての料理なんですよ。
それやられた時、もうねぇ、愕然としました。目からうろこが落ちましたよ。 荘司シェフに「すごいですね、計算、ここまでしていたんですね!」と言うと、「あたりまえだよ」と。 そこで僕も、ああ、変わらないかんなと思った。このままじゃいけないと。
Vol.1
Vol.2
Vol.3
1.コム・シノワオーナーシェフ、荘司索というひと
2.人の心をしあわせで満たす料理とパン