ある日一通のメールがきた。「うちのうどんは加水率56パーセントです」自信に満ちた文面と加水の多さに驚いた。さっそく行ってみた。食べてきました。確かめてきました。驚きの機械製麺の奥義を・・・
お店は横浜市JR港南台駅前のショッピングセンターの3階にある『ふじの里』うどんと釜飯のお店だ。35坪席数70余の立派な繁盛店だった。店頭には自信たっぷりの薀蓄が書かれている。もっともここには加水やボーメうんぬんなどというマニアックなことは書いてない。
このように書いてある。
【艶光したこだわり饂飩】
お客様に感動を与えるうどんをつくりたい。そんな一念から研究しコシがありソフトで喉越しがよくモチモチ感あふれ艶光したこだわりのうどんを作りあげました。まさに天下逸品他では味わうことのできない茹で立てをどうぞお召し上がりください。
ふじの里
昼時で店内はほぼ満員。うどんとセットの丼や釜飯も食欲をそそる。立派なショーウインドには食品サンプルもたっぷり。目移りする。しかし食堂街でよく見かける光景である。取り立ててうどん専門という感じは無かった。
ではさっそく店内に。二人用の席に案内される。注文したのはメニューの一番上にあるお薦め品。
「天下ごめん」うどん、蕎麦と選べるが・・・当然うどんを注文。待つこと10分ほど、いろいろ具が入った温かいつゆに気持ちあめ色のうどん。揚げ立ての天ぷら付。つゆは鰹の効いた旨味のあるもの。冷たいうどんを入れるとつゆがよく絡む。ご馳走系肉汁うどんの趣だ。
温かいものも頼んでみる。「きつねうどん」ちょっと濃い目のつゆに甘めの油揚げ。うどんはしなやかさを増している。来店客の多くはミニうどんと丼のセットメニューが多い。場所柄女性も大変多い。意外だが蕎麦のお客さんも多い。ちなみに通路を挟んだ向かいのお店は蕎麦屋さんだ。こちらはうどん屋だ。厳しい商売敵か。切磋琢磨の毎日なのだろう。
【365日戦えますか】
オーナーの関さんとお話していると・・・「この人は戦士だ」と思った。このショッピングセンターは年間4日ほど定休日があるそうだ。お店の定休日も当然その日となる。普通なら週に1度はお休みをとる。しかし・・・関さんは休まない。そしてたった4日のお休みも次の日のうどん仕込みに関わるから年間、休日はないのだ。朝から夜10時の閉店まで・・・そして片付け、準備と考えれば何時休まれるのか。そして時間があれば他店の味の研究やうどんの新メニュー開発などなど・・・ショッピングセンター内の店舗経営の厳しさを垣間見た。
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