海が近い一皿に

なにか惹き付けられる店名ではないか。調べてみると恐ろしいほど情報が少ない。しかし、調べてから行くことが必ずしもいいとは限らない。電話予約の際には「地の食材をふんだんに使った豪華なコースを」とリクエスト。実際当日のディナーでは、それはそれは凄まじいほどのボリュームのフランス料理がががーんと飛びかかってきた。
フランス料理
ダイニングはほんわりとしたいい香りでいっぱいだ

白い板看板に消え入りそうな「雲の平」の文字。多分手作りなのだろうそのエクステリアはヨーロッパの田舎の小さなビストロをイメージさせる。店内はほんとうにこぢんまりとしていて、どうもシェフとマダムで切り盛りしているファミリーなフレンチ。小さなダイニングと段差のある個室スペースがある。インテリアはヨーロピアンな雰囲気に溢れ、料理の香りが適度に嗅覚を刺激し、直感的に「うん、ここはいいぞ」。

旅先で特に情報もなく、入ったところがいい感じだと嬉しくなる。こういった瞬間は実に楽しい。

アミューズは宮崎牛のタタキ。ふわーとした柔らかい宮崎牛に気持ちがときめいて、ぐっと噛み締める瞬間に東京では感じられない「ほっとした気持ち」に包まれる。尾崎牛でなくてもかなり旨い。
フランス料理
小さいが贅沢な一品

冷前菜はホタテや貝類、扇状の海老のマリネの盛り合わせ。どうってことはない料理だが、鮮度が非常にいいために歯応えがとても心地よい。特に扇海老から伝わる「海の甘さ」には驚きを隠せない。ほんのりとした甘い海老の後味に、白ワインの余韻と軽めのヴィネグレットが加わり、活き活きと口の中で踊り出す。
フランス料理
素材との距離感が抜群にいい

フォアグラのソテーはクラシックなフランボワーズノソースにバターソースを絡めたもの。来たか、フォアグラって感じだが、これはミルフィーユ仕立てになっていて、中に何が挟まっていたか思い出せないのは時間のせいにしておこう。
フランス料理