海と山をテーマに
アミューズはレンズ豆のスープに貝のジュを加え、そこにシェリーヴィネガーで味わいを締めたガスパッチョ仕立て。ガストロノミーの世界ではアミューズで驚かせることは非常に重要だ。カプチーノはまるで帽子のようだが、その中にはいきなり味覚を覚醒させるものが隠されている。
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様々な味わいが隠されているが不思議と口の中で味わいがバランスよく統一される |
イワシのクリスティアンは立体的に表現される。イワシはあくまで上品に仕上げられ、タブレとトマトのジュレによって味わいが複雑に変化するように仕組まれている。
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立体的な見せ方が実に斬新 |
フォアグラは軽くコンフィにされ、甘いカラメルを纏う。僅かに岩塩が載せられそれが微妙なアクセントとして五感に響く。そこに登場したのがムルソー。濃厚なシャルドネとフォアグラが官能的なまでに溶け合い身体に染みこんでいく。とにかく彼の料理にどんどん引きこまれていっていることだけは間違いない。
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フォアグラってやぱり、本当に美味しい。 |
ホタテを浮かべたオーヴェルニュ風ポテ。鶏の出汁にニョクマム(魚醤)、醤油を僅かに加えたポテはオリエンタルな風を漂わせる。余韻の長さをシャルドネで流す瞬間は至福という言葉以外思い当たる単語はない。ホタテの質感についてはシェフも驚いており、それを見事な焼き色をつけてポテという海に漂わせる。
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個人的にはこれが一番私の味覚にヒット |
仔牛のローストにはイカのファルシとジャガイモのピュレが添えられる。フランスから仔牛は入ってこないこともあり今回はオーストラリアからのものだ。これは予想通りの美味しさなのだが、神経が尖ったのは付け合わせのジャガイモのピュレ。なんてことない料理だが、サフランで色合いを付け、ほのかにバターを忍ばせ、これ以上ないバランスの良さで塩と胡椒を身に纏う。
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ソースは仔牛の味に寄り添うように軽めに仕上げられている |