Kinectが売れるために必要な3つのこと(3ページ目)

ゲームタイトルの問題

日本市場にマッチしていて、なおかつWiiやPlayStation3とも差別化できるタイトルの確保が急務です。最後は、ソフトの問題です。他の全ての問題をクリアーしたとしても、ユーザーを魅了するソフトがなければ意味はありません。しかし逆に、ソフトコンテンツによっては、今までの問題も全て解決してしまうということも有り得ます。

例えば、日本のXbox360独自のコンテンツに、アイドルマスターというゲームシリーズがあります。プレイヤーがプロデューサーとなり、新人アイドルを育ててトップアイドルを目指すというものです。もとはアーケードのゲームでしたがコンシューマーではXbox 360に最初に移植され、ファンをガッチリと掴んでいるタイトルです。これに、Kinectが対応したらどうなるでしょうか？

全ての要素をKinectでプレイする必要はないかもしれません。でも、ゲーム画面の前にプレイヤーが来ればそれにアイドルが反応し、時に身振り手振りでスキンシップができ、声もかけられるとしたら。Kinectなら、頑張るアイドルたちに直接拍手を送ることだって、手を振ることだってできます。もしそんなゲームなら、Xbox 360は広いリビングに置かれる必要はありません。お店だって、既存の流通網を生かしていくことが可能かもしれません。ライトユーザーをつかんで一気にシェア拡大というようなことはできないかもしれませんが、一定の数が見える市場ではあります。ソフト1つで、全く別の展開が起きることもあり得るんですね。

今、発表されているタイトルには、例えば、急流下りや障害コースを走り抜けるKinect Adventures、サッカーやボーリングが楽しめるKinect Sports、全身を使ったダンスが楽しめるDance CentralにヨガなどのフィットネスができるYour Shape: Fitness Evolvedなど、全身を使ったゲームが非常に多くなっています。これはKinectの特性を上手く利用していますし、北米のマーケットにマッチしていると言えるかもしれません。また、Wiiの市場を奪ってワールドワイドにおける据え置きハードトップの座を取りに行くというMSの意気込みも感じられます。

しかしそれは、日本のXbox 360の現状からするとかなり難しいかもしれないということはこれまでお話してきた通りです。日本のマーケットにマッチしたキラータイトルをリリースすることができるのか、これが3つ目の問題です。

日本のためのKinect

ワールドワイドで見ると、Xbox 360はWiiに次ぐ2番手の据え置きハードです。そういう意味で、Kinectの勝負どころは基本的には海外です。でも、やっぱり日本のXbox 360にだって頑張って、ゲーム業界に新しい世界を見せて欲しいと思います。（イラスト 橋本モチチ）Kinectを売るために解決しなければいけない3つの問題についてお話してきました。これはつまり、一言で言えばKinectは北米のマーケットに向けて作られているということです。MSの本拠地であり世界最大のマーケットである北米をメインターゲットに据えるのは決して間違っていることではありません。ですが、それをそのまま日本に持ってきても、売るのが難しいのは当たり前のことです。

KinectによってXbox 360が日本で普及していくということがあるとするなら、日本の市場にあったKinectの使い方、というものが必要かもしれません。日本のXbox 360特有のコンテンツ例としてアイドルマスターを挙げましたが、そういった既存のタイトルではなくても、より多くの日本ユーザーに受け入れられるゲームの可能性はきっとたくさんあるでしょう。日本のXbox 360現状にはそういう可能性に対して果敢に挑戦していって欲しいと、願ってやみません。

Kinectは確実にゲーム世界を広げてくれる新しいデバイスです。しかし、使い方を間違えればその真価を発揮すること無く終わってしまうかもしれません。こんな楽しそうなものが、もし日本では上手くいかないとしたら、あまりにもったいない話です。日本では日本のKinectによる、新しいゲームが生まれてくれることを信じて期待したいと思います。

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