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Kinectが売れるために必要な3つのこと(2ページ目)

コントローラーを使わず、身振り手振りや、声による命令だけでXbox 360を操作できるようになる新デバイス、Kinect。果たして日本では普及するのでしょうか?

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

場所の問題

最低でも、Wiiがプレイされているような環境にXbox 360が設置されなければ、Kinectを遊ぶのは大変かもしれません。まず、1番の問題は場所です。Kinectはおそらく北米のユーザーをメインのターゲットとして想定し作られています。広いリビングで、フィットネスをしたり、ダンスをしたり、そういう遊びにとても向いています。今まで、手の動きだけとか、足の動きだけで表現されていた体感ゲームが、全身を使ったものに進化します。

しかし、日本のリビングにそういうスペースがあるかというと、ちょっと疑問です。日本の住宅事情から言えば、マンションやアパートに住んでいる人も多いでしょう。隣や下の階に住む人のことが気になる、ということも少なくないように思います。

しかも、多くのXbox 360のユーザーが、そもそもリビングでゲームをやっていない可能性もかなり高いのではないでしょうか。長い時間をかけて遊ぶRPG、銃撃の音が鳴り響くファーストパーソンシューティング、あまつさえ暴力表現のある海外ゲームなど、自分の部屋でじっくりやりたいというゲームが多いハードでもあります。

Xbox360を持っていて、2人以上で少々とんだり、はねたりしても大丈夫な広いリビングがあって、なおかつそのリビングのテレビに接続している家庭がターゲットということになると、これはかなり限定されてきそうです。逆に言えば、そういう状況にXbox 360がこれから置かれるように戦略を立てていかなければいけない、ということでもあります。これは今までとは全く違うターゲットを相手にすることになります。

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お店の問題

ガイドはE3で北米へ訪れた際に、むこうのゲームショップもいくつか回ってきました。あちらのお店はとても広く、試遊台も多く、Xbox 360が非常に大きく取り扱われています。そういう環境ならKinectの販促もスムーズにいくと思われますが、日本では中々難しいところでしょう。もう1つ深刻な問題は、流通、お店の問題です。Kinectを普及していく時に、お店の協力というのは必要不可欠です。大々的にテレビCMを打ったとして、興味を持った多くの人が感じることは、Wiiとどう違うんだろう、実際に遊んで試してみたい、というところでしょう。そうすると、お店でのしっかりとした展示コーナーや、丁寧に違いを説明してくれる店員さんがどうしても必要です。もし可能であれば、体験コーナーだって作りたいはずです。

しかし、今Xbox 360の店舗での状況は非常に厳しいものです。端的に言えば、売上の絶対数が少なく、在庫過多になり、店頭価格が下がりやすくなって、中古も動きません。結果、仕入れはさらに少なくなるという悪循環を生んでいます。そういう店舗がKinectのコーナーをどれだけ作ってくれるのか、お客さんにプッシュしてもらえるか。あまつさえ体験の場所を用意してくれるかと言えばそれは相当難しいでしょう。

もちろん、ごく一部ではありますが、しっかりとXbox 360をプッシュし、洋ゲー好きのユーザーなどを顧客層として握って、大きな売り上げを作っている店舗もあります。ただしここでもうひとつ問題があるのは、そういう店舗が得意とするのはファミリー層などではなく、Xbox360のRPGやシューティングなどを好むコアユーザーであるということです。

Kinectのターゲットと、流通の状況をもう一度整理しなおして、販売の拠点をどうやって作っていくかというのが、問題点の2つ目です。

遊ぶ場所と売るお店、この2つの時点で、Kinectを日本で普及させるのはかなりハードルが高いことが分かります。そして最後はソフトです。
Wiifitの図
ゲームショップの図
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