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サブスリー達成を目指すには?トレーニングのポイント

今回は、サブスリーを達成するためのポイントを紹介します。もっとも記録が出やすい時期から逆算して、サブスリー(自己新記録)達成のためのトレーニングスケジュールを開始しましょう。サブスリー達成のための準備、考えた食事なども解説。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

サブスリー達成を目指すには?トレーニングのポイント

サブスリー達成を目指すには?

暦の上で立秋となり、やや時期が遅れましたが、サブスリーを達成する上での夏のトレーニングについて解説しておきます。
 
<目次>
   

サブスリー達成を目指すなら?記録狙いの絶好シーズン

サブスリー達成を目指すなら?

サブスリー達成を目指すなら?

サブスリーの達成とは、すなわち自己新記録を出すことに他ならないですから、これから説明することは、自己新を狙う多くのマラソンランナーに共通することだと思います。

マラソンの記録と気象条件には相関関係があります。サブスリーを狙うレベルの市民ランナーにとっては、もっとも記録が出やすい条件はやや寒いくらい、手袋をしていればなんとかかじかまない程度の気候条件だと思います。首都圏でいえば、その気候の季節とは11月末から3月始めころまで。これが一般的にいうマラソンシーズンということです。

このうちどのあたりが最高の季節なのか、これは当てるのが困難。12~1月は季節風が吹きます。2、3月は移動性低気圧の影響でころころと天気が変わり、雪が降るかと思えばぽかぽかの陽気で春一番の突風に見舞われることもたびたび。比較的安定しているのが11月から12月半ばにかけてでしょう。この季節の大会は、記録を狙うためにはまずチェックしておくべき大会です。
 

大会までの準備期間4ヶ月

では、この時期の大会で記録を狙うトレーニング計画をどう立てるかを考えます。

一般に、マラソンレースに向けた準備期間を3ヶ月とする意見をよく聞きますが、それは日常切れ目なくトレーニングをしているランナー(すでにサブスリーを達成してしまっているレベル)に言えることであり、これからサブスリーを狙おうというレベルには足りないようです。

持久力をつけるのに2ヶ月半、それにスピードを加えてスピード持久力をつけるのに1ヶ月、直前の調整に半ヶ月とすると少なくとも4ヶ月の準備期間が必要です。すると、11月末から12月はじめにかけてのレースを走るには、8月は持久力をつけるための走り込みが開始される月にあたることになります。
 

夏でも走り込み目標400km

サブスリーを狙うための走り込み距離は、月間400kmがひとつの目標になるでしょう。

しかし、この猛暑の中で400kmの走りこみは容易ではありません。冬から春にかけてのトレーニングと同じように、ただ月間400kmを走りこもうとすれば、おそらく夏の疲労、通称夏バテに陥るのは必定です。9月になっても残る夏ばては大問題。

9月は走り込みのピークになる時期です。夏ばてにならなければ、涼しさが感じられる9月は夏の走りこみの成果が現れて、気持ちよく走りこめる季節(ランナーズハイをよく感じる季節)なのに、そのときに疲労感が抜けず走ることが苦痛になったり、体の重さを感じて軽快感がなくなる、いわばスランプという状態になってしまうのですからたいへんです。

こうなると、スケジュールが1ヶ月以上ずれこみます。時間を取り戻そうと焦って無理をすると故障……。まさに泥沼。そんな状態にならないためには、夏ばてしないように走りこむ工夫が必要です。夏は努力だけでなく工夫がものを一番の季節だと思います。
 

考えた食事・運動・休息を

このくらいうっそうとした木陰なら申し分ないのだが
夏ばてを予防する工夫
では、どんな工夫が夏ばてを予防するのでしょうか。

人間が健康を維持するためには、食事、運動、休息の3要素が基本だといわれます。アスリートにとっても食事と休息はたいへん大事。暑い最中に月間400km走るには、並みの健康度では務まりません。レベル以上の健康状態を保たなければなりません。

運動については逆で、やりすぎ状態です。食事も休息も過ぎたるは及ばざる如しですが、運動に関してはやり過ぎを避けて通るわけにはいきません。なるべく気温が低い時間・場所を選ぶしかないでしょう。あなたはどんな工夫をしていますか。走る時間を早朝や夜にする。それは基本的対策ですが、ほかにもいろいろと考えられます。
 

朝夕のコースを南北に取る

涼しい時間帯に走る、涼しい木陰の多い場所を走る、といった工夫はどなたもしているでしょう。でも、もし木陰の多い公園や並木道に恵まれていない住宅地などに住んでいたらどうでしょうか。こんな時はコースに日陰ができやすい南北にコースを取る工夫をしてみましょう。太陽の光は朝なら東から、夕刻は西から射すので、かなり直射日光を防げます。
 

週末はトレラン

週末にはぜひ近郊の丘陵でトレイルランニングを行ってください。森の中に入ると気温は数度下がります。おまけにアップダウンはスピード持久力トレーニングに耐える基礎的な筋力を増強します。

一口に走り込み期といっても、建築で言えば、最初は土台作り、次に骨格作りといった段階を追います。建物や自動車と同じで、基本となるシャーシーがしっかりしていなければ、スピードに耐えられず故障を起こしやすいですから、これはおろそかにできません。

準備期間が短いと、スピードを付けなくてはいけないという焦りから、この土台作りをおろそかにしてペース走やインターバル走といったスピード持久力をつけるトレーニングを行い故障を発するという例がたいへん多いのです。

トレイルランニングは、脚の前後の筋肉をバランスよくつけ、安定をよくします。上り坂では心肺機能を、下り坂では着地時の耐ショック能を、不整地ではバランス力をつけます。おまけに、走っている間、気が抜けないですから長時間走っていても飽きることがありません。3~4時間走り続けることにも慣れます。

まず、9月の半ばから末くらいまでは週末に3~4時間のトレイルランを組み込むことをお薦めします。距離にすると20~30km程度です。
 

夕練でストレッチング

夏は、夏季休暇をとって休日が増える人もいると思いますが、そんな方は休日には2部練習も試して下さい。朝練は距離を踏み、夕練は疲れ取りのジョグと数本のウインドスプリントで大きくからだを動かします。これも体をほぐすストレッチングの意味があります。夕練はせいぜい10km未満、ジョグも含め5km程度でいいでしょう。翌日の練習に疲労を残すようではいけません。
 

水分補給について

夏のランニングでもっとも注意することは脱水症。いくら涼しい環境を選んで走っても、他の季節に比べて多量の汗を放出することは間違いありません。夏に走ると10kmあたり1リットルぐらいの汗をかいているようです。

1日にランニングで失われるほぼ3リットルの水分をどう補給するかが、疲労を軽減し体調を維持する上で重要な問題になります。走る前、走りながら、走った後の水分補給を計3リットル摂ればよさそうに思いますが、実際に飲んでみるとわかりますが、ランニングの前後含めて4時間ぐらいの間に3リットルの水を飲むと、かなり胃腸に負担がかかります。お腹がちゃぽちゃぽいうような飲み過ぎの症状。胃腸の働きを低下させてしまい、食欲もおちてしまいます。これは夏バテに陥る最悪パターン。

では、どのように水分を補給したらよいのか、という答えですが、これについてもいろいろと工夫してみましょう。

まず、からだの細胞を貯水池だと思い、走る直前に水分を摂り始めるのではなく、1日中こまめに分けて水分を補給しておきます。その際、氷水では胃腸が冷えすぎて消化機能が落ちるので、あまり冷えすぎていない飲み物にします。
 

食事について

鉄分が多いカツオ、たっぷりの薬味と食べよう

鉄分が多いカツオ、たっぷりの薬味と食べよう

水分だけでなく食べ物から水分を補給することも大事。食事時の味噌汁やスープはぜひ摂りましょう。果物、野菜からの水分補給は、体への吸収がよくビタミンやカリウムなどの栄養分もあるので一石二鳥です。瓜類(ニガウリ、トウガン、スイカ、キュウリなど)やナスは、体を冷ます働きを持っています。食事やデザートにこうした食品を組み入れることで、体に水分を蓄えられます。

一方、他の食事も消化の悪い生ものは避け、消化のよいメニューを中心にし、胃腸に負担をかけず早く体に栄養を吸収できるメニューを工夫します。食欲をそそるような刺激物(ショウガや唐辛子、ラー油、ハーブ類、カレーなど)も活用してしっかりカロリー補給もします。

ニンニクやビタミンE類、亜鉛など、細胞を活性化する食品で、体の細胞を元気づけることも必要です。よく分からないときには、朝鮮人参の働きを主にして処方構成された「麦味参」などの漢方薬を利用してみるとよいでしょう(漢方薬の服用にあたっては、漢方に詳しい薬剤師に相談してください)。

エネルギー源となる炭水化物もたくさん摂らなければならないし、汗と共に排出量が多くなるミネラル類も増やさなければならない、細胞防御のためにビタミン類もしっかり摂らなければならないですから、食事の全体量が増えます。それだけに消化機能は常に絶好調に保たなければなりません。

夏の間、いかに体に負担をかけずに内容豊かなトレーニングを積むか、それが秋のトレーニングの成果につながり、サブスリーの実現を左右することになります。

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