ハイレ・ゲブレシラシエ選手、2時間3分台の秘密を語る

対談後、明日の健闘を誓う
対談後、明日の健闘を誓う
ベルリンマラソン2008は、特別な大会でした。ハイレ・ゲブレシラシエ選手(エチオピア)が2時間3分59秒の記録で優勝。マラソンの記録はまだまだ短縮されるということ、それはとりもなおさず、人類の肉体的可能性の限界を議論するにはまだ早いということを教えてくれたレースでした。

また、これまででしたらアスリートとして峠を越えていると見られていた35歳という年齢が、今のところ最高のパフォーマンスを発揮できる年齢であることを証明して見せたのです。

この世界中を驚かせたレースの前日に、ハイレ・ゲブレシラシエ選手とおなじくベルリンマラソンに出場した諏訪利成選手(日清食品)の対談が行われていました。北京五輪において、それまでの常識とはかけ離れたレース運びで優勝したサムエル・ワンジル選手(ケニア)をどう評価しているのか、今後のマラソンはどのように展開していくのか、日本のマラソン界について等々、さまざまな興味あるテーマについて、トップランナーならではの視点で語っています。その内容は、マラソンファンの興味に応えるだけでなく、日本のトップランナーにとっても噛みしめるべき具体的な示唆を含んでいます。

今回は、対談の実現にあたったアディダスジャパンのご協力を得て、その対談のすべてをお伝えします。

人類の2時間切りは20年後か

さまざまなトレーニングのシチュエーションに応じて、使用するシューズもバラエティに富んでいるハイレ選手
さまざまなトレーニングのシチュエーションに応じて、使用するシューズもバラエティに富んでいるハイレ選手
諏訪利成選手(以下「S」):ハイレ選手はご自分が、どこまで記録を縮めることができると考えていますか?

ハイレ・ゲブレシラシエ選手(以下「H」):必ず、2時間3分台で走ることができると思います。それがいつになるかわかりません。明日すぐにというわけにはいきませんが(編集注:実はその「明日」にハイレ選手は3分台を実現)、それほど遠い未来ではないでしょう。今後も記録を伸ばしていけると思っています。

S: 将来的に、マラソン競技での2時間切りは可能だと思いますか?

H: この20年間では難しいと思いますが、それ以降には、2時間以内の記録が出てくると思います。

ワンジル選手の実力は2時間2分台

S: 北京五輪で金を獲得したワンジル選手について、どのような印象をお持ちですか?

H: 私が驚いたのは、彼が優勝したという事実ではなく、彼が出したタイムです。夏場のマラソンで、2時間6分32秒というのはものすごいことです。

S: 彼が冬場のマラソンに出場したなら……

H: 欧州での冬のマラソンに出場すれば、2時間2分台は出せる実力だと思います。

S: 今回の五輪ではハイペースで2時間6分32秒でしたが、今後の五輪においても、そのようなハイペースでと考えていますか?

H: そうは思っていません。もちろん勝つために出場するわけですが、北京ではどうしてハイペースになったのか、良くわかりません。本当にハイスピードでしたよね。