ベルリンマラソンがなぜ走りやすいのか
増田 ほとんどの方がベルリンは初めてですよね。ベルリンはいいですよ。最近の日本女子マラソンの日本最高記録は全部ベルリンで出ています。白戸 ということは走りやすい?
増田 走りやすいの。私だって走れそう(笑)。
増田 全体的にコースが平坦なんですよ。並木が大きくて、走っていてもなんだか酸素が濃い感じで。戦争の時にヒトラーが、空からよく見えないようにして攻撃を防ぐために大きな木を植えさせたって聞いたんですけど。
コースは旧西ドイツと旧東ドイツが入り交じっているんです。ヨーロッパ風の旧西ドイツ側と、独特の昔のドイツが残っている旧東側と両方の風景を見ることができるんですね。大きな木と、ところどころに熊の置物があったりして、本当に風景がいいですね。
白戸 マラソンで走る速度って、一番町がよく見える速度なんですよ。ベルリンマラソンはある意味で観光マラソンみたいなものですね。
マークしておいた景色を数えて走る
講義の後は皇居周回コースでの実技。チームのユニフォームを身につけると気持ちも昂揚 |
東京学芸大学の有吉正博先生の本に、マラソンを距離とタイムを目標にして走るんではなくて、景色を数えて走りましょうと書いてあったんですよ。42.195kmのコースの中でカイザーウィルヘルム教会のように目標になる景色を4、5箇所マークしておくんですって。それで、ここまで来たぞ、次はあそこまで行くんだと景色を数えながら走ると5回くらいで終わるというんですが、ベルリンマラソンはまさにそういうコース。
白戸 下見バスの中から見るのと、道路の真ん中から見る景色は違うので、両方体験できるというのも貴重な機会ですから。
増田 ベルリンは応援も粋ですよ。高橋Qちゃんが走ったときに沿道の女の子が花をQちゃんに渡そうとしたけど渡せなくて、追っていた小出監督が受け取ってゴールしたQちゃんに渡したなんていうこともありました。そういう感覚が独特ですね、ベルリンは。
白戸 大会にその土地の文化とか人間とかの色合いが出る。海外の大会はその違いを生で見るチャンスですね。周囲を走っているランナーの雰囲気も違います。
仮装ランナーが多いですよね。仮装ランナーに抜かれるくらい屈辱的なことはないんですが(笑)、そういう独特な雰囲気がありますね。日本ではそういう大がかりな仮装ってないですから、海外のマラソンならではの面白さだと思いますけどね。