フルの目標タイムから、必要な5km~ハーフ速度を計算

練習時にも何キロのレースペースで走っているのか意識を
練習時にも何キロのレースペースで走っているのか意識を
世界と日本を代表する4人の選手の記録と、ほぼサブスリーの市民ランナーの記録から、5km~ハーフをどの程度で走れるならサブスリー潜在力があるのかを調べました。この記録に達していないサブスリーを目標にしているランナーには、目標としてほしいタイムになります。

選手名 対象年度 出身・項目 5000m 10000m ハーフ マラソン
H.ゲブレセラシエ 2007 エチオピア   0:26:53 0:59:24 2:04:26
1kmの所要時間   0:02:41 0:02:49 0:02:57
対10000m倍率   1.0000 1.0473 1.0970
対ハーフ倍率     1.0000 1.0474
佐藤敦史 2007 中国電力 0:13:36 0:28:13 1:00:25 2:07:13
1kmの所要時間 0:02:43 0:02:49 0:02:52 0:03:01
対5000m倍率 1.0000 1.0374 1.0528 1.1084
対10000m倍率   1.0000 1.0149 1.0685
対ハーフ倍率     1.0000 1.0528
P.ラドクリフ 2004~2005 英国 0:14:29 0:30:17   2:17:42
1kmの所要時間 0:02:54 0:03:02   0:03:16
対5000m倍率 1.0000 1.0455   1.1266
対10000m倍率   1.0000   1.0776
野口みずき 2004~2005 シスメックス 0:15:38 0:31:21 1:07:47 2:19:12
1kmの所要時間 0:03:08 0:03:08 0:03:13 0:03:18
対5000m倍率 1.0000 1.0027 1.0276 1.0551
対10000m倍率   1.0000 1.0248 1.0523
対ハーフ倍率     1.0000 1.0268
福士加代子※マラソンのみ前半のタイム 2007~2008 ワコール 0:15:06 0:32:14 1:08:00 1:10:32
1kmの所要時間 0:03:01 0:03:13 0:03:13 0:03:21
対5000m倍率 1.0000 1.0673 1.0673 1.1070
対10000m倍率   1.0000 0.9999 1.0372
対ハーフ倍率     1.0000 1.0373
市民ランナーA 2000 All Aboutガイド 0:19:15   1:26:41 2:59:07
1kmの所要時間 0:03:51   0:04:07 0:04:15
対5000m倍率 1.0000   1.0672 1.1026
対ハーフ倍率     1.0000 1.0332
4名の速度倍率から推定するサブスリーに必要なスピード 必要5000mタイム(1km) 0:20:13~0:18:56(0:04:02~0:03:47)     1.0551(野)~1.1266(ポ)
必要10000mタイム(1km)   0:40:32~0:39:33(0:04:03~0:03:53)   1.0523(野)~1.0970(ゲ)
必要ハーフタイム(1km)     1:27:39~1:25:10(0:04:09~0:04:03) 1.0268(野)~1.0528(佐)

表のうち、各選手の成績部分の見方を説明します。

4選手と、大阪国際女子マラソンで初マラソンを経験した福士加代子選手、さらに市民ランナーAのフルマラソンのタイムとそのタイムを出した頃の5000m~ハーフの記録を示しています。市民ランナーを除く5000m、10000mの記録はトラック、マラソンはいずれも平坦な高速コースなので、アップダウンによる影響はほとんどないといっていいでしょう。参考とすべき数値としてはたいへん理想的な状況で出ているタイムです。

「出身・項目」行のタイムはその距離のレースの所要時間、「1kmの所要時間」はそのレースでの1kmの平均タイム、「対○○速度」は「○○」の1kmの所要タイムを「1」とした場合に、各レースでタイムが何倍にあたっているかを示します。例えば、佐藤敦選手の10000mの1kmのタイム2分49秒を1とした場合、フルマラソンの1kmのタイム3分01秒は、1.0685倍にあたっているということです。

「4選手の速度倍率から推定するサブスリーに必要なスピード」では、各選手の係数を、フルマラソン3時間を前提にして算出しました。一番左の列には4選手の中から、一番大きい係数と一番小さい係数を示しました。

例えば、長距離型の選手がサブスリーを達成するにはどの程度の5000mのタイムが必要なのかを計算してみます。サブスリーに必要な1kmあたりの速度4分16秒を長距離型の野口みずき選手の対5000m速度の係数1.0551で割りますと、5000mを走るスピードは1km4分02秒、5kmで20分13秒になることがわかります。

こうしてみると野口選手は他の3選手に比べ、いずれの距離でもマラソンの速度との差が少ないことがわかります。差が大きいということは、相対的に距離が短いほど速いということで、差が大きいほど中距離型に近いということができます。

やっぱり福士選手は速すぎた

特別な例として、福士加代子選手の場合を検討してみました。フルマラソン(2008大阪国際女子)は後半失速しているので、前半の記録だけを対象としました。すると5000mの記録に比べるとゆっくり(111%)ですが、10000m、ハーフに比べるとかなり速い速度で走っていることがわかります。フルマラソンとの差が少ないということは、かなり速いということです(野口選手のような長距離型であれば5000m、10000mに比べても落ち込みが少ないといえるのですが……)。中距離型の選手でもハーフまではそんなに速度を落としませんが、マラソンを走るときはかなりスピードを落とします。ただデータから見ると、福士選手はフルマラソンでもスピードをあまり落とさなかったということになります。