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苛烈極める「富士登山競走」を完走する方法(3ページ目)

日本一の富士山に麓から一人で駆け登る富士登山競走。大会の様子も困難さもフルマラソン大会とは違います。だからこそ一度は完走してみたいと挑戦者が増えてます。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

富士登山競走完走のためのポイント

最後の鳥居と階段
ここまでくればゴールも同然。最後の鳥居をくぐればすぐそこがゴール。左手の石垣の上では先にゴールした参加者が盛んに声援を送っている
富士登山競走は、下界のマラソンレースとはまったく趣を異にするレースです。このレースは完走するだけでなく、ゴール後にもさまざまな困難が待ち構えています。初めて参加する方のために、注意点やアドバイスを列挙します。

■余裕をもって現地到着、あるいは前夜泊を
今年2007年からスタート時刻が午前6時30分に早まりました。十分に余裕をもって現地に到着してください。できれば前夜泊したいところですが、直前になると富士吉田市内の宿はどこも満室。数駅はなれたところとか、前日仕事を終えてから現地入りするなら、大月市あたりの駅に近い宿をとるのも一つの手です。

■服装と紫外線対策、寒さ対策
ゴールの喜びあちこちで爆発
ランナーとそのゴールを迎える人でフィニッシュ付近は大混雑。あちこちで撮ったり撮られたりの記念撮影、ビールでの乾杯シーンが見られる
五合目までの森林帯を抜け出ると強烈な太陽にさらされます。雲がかかっているように見えても、八合目以上は雲の上ということが多いのです。紫外線は強烈で、たっぷり浴びてしまうので帽子は必携。肌が露出する部分は日焼け止めクリームを塗りましょう。

晴れていて風がなければランシャツ、TシャツでもゴールするまではOKですが、風があったり、曇っていると八合目以上では行動中も寒くなります。ゴールした後は、快晴でも寒くなってきます。山の気温は、ほぼ標高100m高くなると0.6度気温が低下。スタート地点が25度なら山頂は7度というわけです。いざとなったら、山小屋で雨具やトレーナーを買うつもりで現金を持ちましょう。

■ボロシューズで可
登りには絶対に軽いほうが有利。マラソンレース用がいいと思いますが、問題は下山時。山頂から五合目まで自力で下らなければなりませんが、このときザラザラ、ゴツゴツの火山礫を蹴飛ばし、蹴飛ばし下るのです。当然、靴はソールもアッパーもメチャクチャです。私は、持っている靴の中で一番傷んでいるレース用シューズを使うことにしています。ソールは減っていてもクッション性が減衰していてもさほど問題はありません。

下山時には、がっちりしたシューズが望ましいのですが、その点はレースのために犠牲にします。ただ、アッパーが薄いレース用シューズを履いていて、布の部分がザックリ切れたことがありました。

■靴下は薄手は不可
最近レース用ソックスというとくるぶしまでのものが全盛ですが、富士登山競走では足の保護のためにふくらはぎの下まであるショートソックスをおすすめします。靴の中に砂が入るので、地は薄手ではないほうがよいでしょう。なお、靴もシューズも火山特有の鉄分を含んだ赤い砂が網目まで入り込み真っ赤になります。いくら洗ってもとても元のようにはなりません。

■下山路を間違えないように
下山路
五合目で乗車する帰りのバスの最終は午後2時とあって、ギリギリゴールの選手はのんびりもしていられない。すぐに下山。ここは下りはじめのところでまだ砂煙も立っていないが、下るほどに大砂塵
富士登山競走に使われる富士吉田口コースは、登山コースと下山コースが別になっています。下山コースは途中まで須走り口コースと共用ですから、分岐点で注意が必要。うっかり須走りコースへ下らないようにしてください。

■下山時はマスクが必需品
帰りは富士スバルラインの五合目に迎えのバスが用意されます。そこまでは自力で下らなければなりません。この五合目までの下山は、砂礫を蹴落としながらの砂走りで、モウモウと砂塵が舞い上がります。目も口も鼻も、砂だらけ。ここで威力を発揮するのがたった1枚のマスク。そんなに荷物になるわけでもないので用意するといいでしょう。

■いざというときのために「お金」
「お山の沙汰も金次第」でしょうか、山小屋がたくさんある富士山ではお金さえあれば寒さも飢えもなんとでもなります。いざというときのために現金を用意しておきましょう。小銭では間に合いません(重いですし)。500mlの飲み物500円、350mlビール600円ですから。

■エイドステーションは?
五合目までは水だけでなく食べ物もあります。その上は水だけ。飴などをいくつか持っているといいでしょう。水以外のものが欲しいなら山小屋で購入することになります。山小屋はたくさんあります。

■カメラ・携帯電話など、荷物は極力持たない
「山頂についたら写真を撮りたい」「仲間にも第1報を送りたい」というわけでデジタルカメラに携帯電話を持って行きたいところでしょうが、完走ギリギリが予想される人は、極力荷物を減らしたいものです。そこで、カメラはなるべくコンパクトな使い捨てカメラ(デジカメより軽い)、携帯電話は持たず、山頂の公衆電話を使うことにしましょう(使い方を忘れた人はいませんか?)。

以上の持ち物は、極力コンパクトにウエストバッグで運べばよいと思いますが、もし走ると揺れて走りにくいようなことがあれば、思い切って小さなランニングザックを利用したほうが走りやすいと思います。

■とても自信がない人は五合目コースで小手調べ
富士登山競走には山頂コースだけでなく、五合目コースもあります。五合目コースの完走率は92%と大変高くなります。とりあえずこの五合目コースにチャレンジして様子を探ってみるのもよいでしょう。五合目まででも箱根駅伝の箱根の山登りに匹敵する登り応えがあります。時間に余裕があれば、ゴール後六合目あたりまで足を伸ばしてみると、さらに山頂コースがどのようなところを登るのか様子がわかります。雄大な景色も楽しめます。

さて、今年2007年の大会は7月27日(金)に行われますが、すでに募集は締め切られました。来年に参加を予定している人は、見物に行くのもいいかもしれません。馬返し近くまで車で入りそこから六合目あたりまで往復するとか、五合目までバスで上がって大会コースまで往復するといいでしょう(五合目駐車場と大会コースルートの五合目は離れている)。メールマガジンでも、この記事に紹介しきれなかった富士登山競走関係の情報を紹介しています。ぜひ参考にしてください。

最後に。よく、「テレビでやってる、砂の中を転ぶやつですか」なんて言われますが、それは富士登山駅伝のこと。8月第1日曜日に御殿場コースを使って行われ、テレビで録画中継されます。



<関連リンク>
第60回富士登山競走 オフィシャルサイト
富士登山競走練習会
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