病気にいいなら、アスリートにもいいんじゃないか?
2004年所沢マラソン(ハーフ)は、平沢さんの活躍の最大の理解者であり後援者だった母の死の翌日のレースとなった。優勝を果たしトロフィーを霊前に供える |
フルマラソンというようなカラダを痛めつけるレースや、練習をすればカラダは大きな痛手を受けます。その痛手を早急に回復することができれば、人よりも強度の練習を積めるからパフォーマンスもアップするわけです。また、大きな痛手が生じることがわかっているのだから、それを予防する対策を施せばダメージが少なくて済むとも考えることができます。カーボローディングなどはそうした発想に基づいているわけです。
「未病」の考えを応用するスポーツ中医学的考え方
中医学(中国の伝統医学)には、「未病」という考え方があります。現状は病気ではないが、ほおっておけば病気になることが確実という状態を指します。これからフルマラソンを走ろうという選手の健康状態は、一般的に言えば「健康」そのものですが、この後のことを考えると「未病」の状態にあると言えるでしょう。中医学には「未病」を治療する理論が発達しており、この医学理論をスポーツ医学として応用すれば、スポーツによる故障や障害の予防やパフォーマンスアップに寄与すると考えられます。ガイドはこれを「スポーツ中医学」として提唱していますが、平沢さんの考え方はまさしくこれです。ガイド:そのローヤルゼリーの効果はいかがでした?
平 沢:飲み始めてまだ間がなかったベルリンマラソンはロルーペ選手に30kmぐらいまで付いていったんですが、足に痙攣を起こして最後はジョギングでした。その2ヶ月半ぐらい後にあった渡良瀬遊水地マラソンで久しぶりに自己新、しかもマラソン初優勝(総合で)でした。
平沢さんは、その2週間後のつくばマラソンで念願だった30分を切ることができ、これも優勝。翌2002年には、パリマラソンで28分台の自己新を出した8日後にボストンマラソンに連続出場し、ここでも29分台と2週連続で2時間30分を切りました。
平 沢:これでワンランク上の力が付いたかなという感じですね。ただ、ボストンの翌週に3週連続の30分切りを狙って小笠・掛川マラソンに出場したんですが、これでは足が痛んで失敗です。まだ3週連続で切れるほどの力ではなかったということですね。
サプリメントできつい練習に耐えられるように
平沢さんはその健康食品を飲むと確かに違ったとのことです。練習で頑張れるのです。この頃は、30kmの通勤ランを行い、月間走行距離は600kmに達しました。それでもこれといった故障は起こしておらず、年間の出場フルマラソンレースが12~15回にもなっていきます。サプリメントがレースの記録を左右するわけではないと言います。レースの記録は練習次第です。サプリメントは、一段きつい練習に耐える体調を作ってくれるということでしょう。夫人ののり子さんとは、平沢さんがフルマラソンに初優勝した渡良瀬遊水地マラソンに出場する前に知り合ったそう。初めて平沢さんを応援したハーフマラソンで優勝、次に応援に行った渡良瀬遊水地マラソンも優勝というわけで、平沢さんは優勝するのが当然と思いこんでいるらしく、最近はそれがプレッシャーになっているとか。
のり子さんとは、3連覇をかけた東京・荒川市民マラソンの大会会場で式を挙げました。「のり子大好き」のチーム名で登録し、ユニフォームも「のり子大好き」で走ります。実力的に女性のトップランナーに近い平沢さんは、男女混合レースのテレビ中継だと、たびたび女性トップ走者が映し出される画面に映っていることが多くなります。そんなことで市民ランナーの間では有名人ですが、このチーム名が日本陸連で議論になり、規約が改正されて今年度から認められなくなったとのことです。おそらくテレビに映し出されることのないようなランナーなら、問題にされることもなかったのではないでしょうか。
自身の体験を人に伝えようとする寛容さ
まだ、32歳。市民ランナーとしてはごく若手といってもいいくらいの年齢です。しかしフルマラソンに関する経験は超ベテランと言っていいくらいです。平沢さんのもう一つのそして貴重なユニークさは、その経験をどんどん人に伝えようとするところにあると思います。エリートランナーの場合、詳しい練習内容や食事、サプリメントなどをオープンにする例はほとんどありません。引退後は執筆や講演会を行いますが、その内容は市民ランナーレベルのものではありません。エリートランナーを前提とした内容か、例え市民ランナーを対象にした情報だとしても、「市民ランナーだから、こうだろう」という推測を交えています。それはそれで貴重なのですが、平沢さんの場合は、市民ランナーとしての経験をベースにしているということに価値があります。
もちろん、平沢さんと同じ条件の走力や年齢の方は限られるでしょう。しかし、生活のほぼすべてをランニングに費やし所属する組織から援助を受けられるエリートランナーと、練習時間でさえあれこれと工夫してひねり出さなければならない市民ランナーの立場は大きく異なります。そういう意味で、市民ランナー平沢さんの話の中には参考になることがたくさんあります。平沢さんのサイトではたいへん詳細に自身を紹介されているので、アクセスされることをおすすめします。また直接話を聞きたいという人のために講演会も行っています。
<関連リンク>
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