腰、大腿部、膝関節、足首のストレッチングを
走り出す前に、腰から足にかけてのストレッチング、屈伸を十分に |
着替えるN氏に目をやると、おぞましくも目をそむけずにはいられないぶよぶよの脇腹がパンツの上にはみ出している。これは落としがいがあるというもの。まず3ヶ月で6kgの減量が最初の目標。9kgと言いたいが、週に10kmの運動ではとても無理。
ガイド:まずは、故障を予防するためにストレッチングを。いつもやっているようにやってみてください。
腕を伸ばしたり体をひねったり手首を回したり、サッカーをやっていただけにストレッチングを知らないわけではないけど、肝腎の脚部や腰に関係するストレッチングが足りないぞ。これはちょっとやばい。体型から見て、一番故障を起しそうなのが膝関節炎。ランニング初心者に最も多い故障だけにおろそかにできない。また、体の大きさを生かした走りをするには開脚の可動域を広めるほうがいい。それに柔軟性を高めておくことは故障の予防にもなる。そんなことから脚関係のストレッチングを加えるようにアドバイス。
「じゃあ、走ってみて」と指示すると、ランニングに履いているというシューズは真っ赤なニューバランスのオールレザー。フィット感はいいだろうが、足だって汗をかく。温かくなると蒸れるだろう。雨中でも走れば重くなる。ランニング用のシューズを新調してもらうことにした。しかし、心配した偏減り(靴の底が片方だけ減っていること)はしていない。これならくせのあるフォームの心配はないかもしれない。
体を起こして「凧」になると呼吸が楽
見るからに美しくなくつまらなそうに見える「うなだれフォーム」 |
胸を張った颯爽としたフォーム。呼吸が楽だし、歩く姿、立ち姿も美しくなる。まだ歩きに近いオーバーストライドの足の運びだが、初めはこんなもの |
ガイド:うなだれて猫背になるとお腹を圧迫してしまうから、横隔膜が下がりにくくなって空気をたくさん吸い込めないわけ。ということで早く苦しくなってしまうの。腹筋、背筋が弱いと身体を起こしていることが辛くなって、うなだれフォームになるから、腹筋、背筋は走る距離が長くなるにつれて強化するようにしてください。
N氏:前傾すると楽なんですけど。
おお、なかなか良い質問だぞ。
ガイド:足が出なくなってきたときは、前傾すると楽に足が出るけど、お腹で折れるような猫背型の前傾ではなく、身体を真っ直ぐ保った状態でやや前傾するのがベスト。自分の身体が凧だとして、両肩とおへそから糸が出て、それが2~3m先でまとまって引っ張られているというイメージで。
このイメージを持って走ると、腕振りで肩を前後するクセも抑えられるので一石二鳥。、もう一度走ってみてもうらうと、そうそう。さっきのフォームに比べるとずっとかっこいいじゃない。これでなきゃ。
O脚、がに股矯正法
幸いにN氏はわずかながに股だけ。O脚、X脚、がに股、内股は故障につながるので矯正してほしい |
がに股(O脚)は、そのまま走り続けると、膝の故障、ソールの偏減りが発生します。ぜひ矯正するように努めてください。歩く姿も恰好よくなります。シューズが長持ちするようになりますよ。
私は「尺取り虫」なんて名前を付けてますが、足を大きく前に踏み出し、腰を落とします(これをウォーキングランジと言います)。この時に注意することは、足が必ず真っ直ぐ前方を向いていること、膝が外に割れないように屈伸することです。O脚、がに股を矯正すると共に大腿四頭筋や膝関節周囲のストレッチングにもなりトレーニングにもなります。開脚度も増します。
もう一つ、電車のベンチイスに座っているとき、足をなるべく開かずに座ることです。これは結構内股を締め続ける力が必要。O脚の方は足のしまりが悪くなっていますから、これも効果的です。
N氏:では、これでいいっすね。
ガイド:まあ、待って、待って。早まるでない。ランニングを始めた人がよく陥る罠があるんですよ。持続するにはそれなりの工夫というものがある。
N氏:そ、それは?
ガイド:次ページを見よ!(なんだか安っぽいCMの展開みたいだな……)