筋肉を使えている選手は筋肉が柔らかい

取材を受けていただいた新田 幸一(しんでん こういち)さん。1977年生まれ。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科バイオメカニックス専攻卒。卒業後同大学大学院研究生。早稲田大学駅伝チームフィジカル・コーチほかプロ、アマのトップアスリートのコーチ・指導者として活躍している
自らインターハイ100m優勝という輝かしい実績を持つ新田幸一さん。ところが何度も故障に泣かされてきました。大学で生体力学を学びながら抱き続けていた疑問は、「筋肉をつけて結果が出る人と出ない人がいる」ということ。よ~く観察してみると、その違いは「筋肉が使えているか、筋肉を使えていないか」の違いであることに気がついたのです。

「筋肉を使えている選手を観察すると、筋肉が柔らかいという共通点があるんですよ。筋肉を柔らかくするだけでパフォーマンスが上がった例はたくさんあります」

この新田さんが開発した体の再開発システムが名付けて「リラクサイズ」。「リラクサイズ」とは「リラクゼーション」と「エクササイズ」の合成語。体をリラックスさせて柔軟性を増しつつ、筋力つけてパフォーマンスをアップするという方法です。しかも、顔をしかめることもない、痛くない、辛くない方法なのだとか。いいですねぇ。「そういうのって好き!」とばかりに、荒川市民マラソンに引き続き、東京マラソンで完走……を狙っているオールアバウトのスポーツ担当編集者と、新田さんが主宰するジム「エリア51」に押しかけました。


弾力性に富み、しなやかな筋肉を作り出すマシン

取材協力していただいた「エリア51」。六本木にある会員制ジム。外の喧騒がうそのように、中は静寂に包まれていた
ジムは六本木のど真ん中、賑やかな通りに面しています。夜更かしは敵と心得ているアスリート向けの施設が、夜に輝く街にあるアンバランスがちょっと奇妙。でも、会員には芸能人や国会議員もいると聞いて納得。昼でも夜でも空いた時間にちょっと来て体を動かそうというわけでしょう。

ジムに入ってまずあれっと思ったのは、ジムの静謐さ。「ガシャン、ガシャン、ガッ、ガッ」というようなマシンから発する音がほとんど聞こえません。マシンもなんだかアートのオブジェのよう。シンプルです。ワイヤー類がほとんど見えません。しかし、そこにはいずれも、新田さん自ら試作を重ね開発したという工夫がこらされてました。

なにはともあれ、おすすめのチェストプレス&プルオーバーをテスト。「あれ、これって大胸筋や三角筋を鍛えるんじゃないんですか」

おおっ!悪いことをしなくても手が後ろに回るように

新田さんオリジナル作成の「チェストプレス&プルオーバー」。大胸筋を発達させるマシンに似ているが否。可動域を広げて柔軟な筋肉を作るマシーンだ
一般的なジムのマシンでいうと、大胸筋を発達させるペクトラルフライに似た形をしていますが、機能は全然違います。これ、実は背中側の広背筋や僧帽筋をほぐし、かつ可動域を広げて柔軟な筋肉を作るマシン。

この種のマシンは一般的に手を体の前で合わせるように使用しますが、このマシンの場合、手が後ろに引っ張られます。すると胸郭が開き、腕の振りも良くなり呼吸も楽になるというわけ。「ちょっとやってみましょう」と新田さんに勧められてやってみました。

痛いわけでもなく、力を入れるわけでもないので、これならいつまででもできそう。汗もかきません。数分おこなった後でマシンを離れ、手を後ろに組んでみると、あら不思議、やっとだったのが余裕で左右の手の指が重ね合いました。ただし、たまにやってもすぐに元に戻ってしまうので、定期的にやることが大切。年齢に関係なくいつから始めても徐々に体の柔軟性が増してくるそうです。

これでは可動域を広げるだけのストレッチングをアシストするマシンのような気がしますが、ちゃんとインナーマッスルを鍛えているとのこと。息も血圧も上げずにできるストレッチングと筋トレを合成したトレーニングです。