敢えて囲わないという録り方
花のある手前の和室でボーカルやギターをレコーディングする |
山口:問題ないですよ。実際、新人ミュージシャンなどがプロダクションの人といっしょにやってきて、朝から晩までここで歌って、ギターを弾いて、といったことをしていますからね。ここの場所柄、とっても静かなので、防音などする必要もないんですよ。
ここでは、ひとつのテクニックとして、囲わない録り方というのを実践しています。たとえばモニタースピーカーの音も遮断しないから、音が回ってマイクに入ってきます。常識的にはタブーとされている手法ですが、音を回すことで、ふくよかな感じになってくる。「腐りかけはうまい」みたいな感じですね(笑)。それに気づいたのはトークバックマイクが上げっぱなしになった音をモニターしたときです。このとき、かえってライブ感が増す感じがあったんですよ。
実際、いろいろな意味で遮断をしないほうが人は安心します。コミュニケーションもとりやすいですしね。もちろん、結果的にそれがダメということもありますが、そんなときは、人が立つ位置やマイクの位置を変更することで問題を避けることができるんです。
近所の人の評判がひとつのバロメーターにもなると話す山口さん |
山口:基本的に良い音が出ていると、人は心地良く感じてくれるような気がします。「もっと聴きたいわ」なんて言われることもあるし、そこで評判がいいほうが、きっと世の中に出やすいでしょ。
そのうち、チビっ子がスタジオの周りにオーディエンスとして集まって、目をキラキラさせて聴いていたり、時に「前のヤツのほうがよかったよ」なんて言ってくれるようになるのが夢ですね。