DTM・デジタルレコーディング

「初音ミク」のこと、どれくらい知ってる? 誕生から現在まで、プロが一から解説【2022年で生誕15周年】

2022年8月31日付けで、「初音ミク」の誕生から15年となります。日本が生み出したバーチャルな歌姫「初音ミク」は、これまでに国内外で大きな活躍をし、10万曲を超える膨大な作品を世に送り出してきました。今回は、初音ミクとは何なのか、改めて紹介します。

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

2022年8月31日付けで、「初音ミク」の誕生から15年となります。日本が生み出したバーチャルな歌姫「初音ミク」は、これまでに国内外で大きな活躍をし、10万曲を超える膨大な作品を世に送り出してきました。これだけ多くの持ち歌があるシンガーは、当然これまでには存在せず、そしてこれからも出てこないでしょう。

でも、改めて「初音ミクって何?」といわれて、正しく答えられる人は少ないかもしれません。「あのエメラルドグリーンのキャラクターだよね?」「ボカロの一つでしょ」「以前にすごく流行ったコンピューターによる歌声」などなど、なんとなくしかわからない……そんな「初音ミク初心者」の方に向けて、初音ミクとは何なのか、分かりやすい形で整理して紹介します。
初音ミク誕生から8月31日で15年となった

初音ミク誕生から8月31日で15年となった

 

そもそも「初音ミク」「VOCALOID」って?

2007年8月31日、クリプトン・フューチャー・メディア(以下クリプトン)が「キャラクター・ボーカル・シリーズ01 初音ミク」というWindows用のソフトを発売しました。発売からすぐのタイミングで、筆者が「DTM界に登場したアイドル、初音ミク」という記事を書いているので、興味のある方はその当時の内容も参考にしてみてください。
2007年8月1日に発売された初音ミク

2007年8月1日に発売された初音ミク

このソフトは、ヤマハが開発した歌声合成ソフト「VOCALOID 2(ボーカロイド2)」をベースに、クリプトンが初音ミクという製品に仕上げたものです。初音ミクの、あのキャラクターをあてがうと同時に、声優の藤田咲さんの声をサンプリング(録音)したものを使って、歌えるようにしました。

「VOCALOID 2」は、音符情報と歌詞を入力することで、誰でも自由に歌を歌わせることができる画期的なソフトで、音痴な人でも、歌が下手な人でも、コンピューター上で簡単に歌声を作り出すことができたのです。

プロ・アマチュア問わず「DTM=デスクトップ・ミュージック」という手法を用い、コンピューター上で音楽制作をする人は多くいますが、そこにボーカルを入れるのは簡単ではありません。シンガーソングライターで自分で歌えるのであればいいですが、誰かに歌ってもらうならその人にお願いしなくてはならないし、レコーディングにはお金も時間もかかります。ましてや、著名なプロに歌ってもらうとなれば、そのハードルは一気に上がってしまうことは誰もが想像できると思います。
VOCALOID 2の編集画面。音符と歌詞を入力すると歌わせることができた

VOCALOID 2の編集画面。音符と歌詞を入力すると歌わせることができた

しかし「VOCALOID 2」をベースにした初音ミクであれば、そんな悩みも解消できます。このソフトを買ってインストールすれば、誰でもあの歌声を得て、歌わせることができるのです。「それはスゴイ!」と多くのクリエイターが初音ミクを利用するようになり、それと同時に多くの楽曲がニコニコ動画やYouTubeなどの動画投稿サイトに発表されました。そしてそれらがヒットし、ボカロブームへと広がっていったのです。こうした楽曲を作るクリエイターたちは「ボカロP」と呼ばれるようになりました。VOCALOIDを使うプロデューサーということで、こう呼んだわけですね。
 
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