ノイズリダクションに関する大きな誤解
読者のみなさんから寄せられる質問として、ノイズリダクションに関する内容がよくあります。そして、その内容を読むと、ノイズリダクションに関する誤った理解、考えの方が多いように感じられます。
典型的なのは、「レコーディング時に多少ノイズが乗っても、後でノイズリダクション処理をすればいいや」という考えです。でも待ってください。ノイズリダクションというのは最後の最後の手段であり、決してこれがあることを前提にレコーディングをしてはいけないのです。
レコーディング時にはルーティングや、接続、ケーブルの選び方や設置の仕方、もちろんマイクのセッティングや機材の設定など、あらゆる面で細心の注意を払って、ノイズが乗らないようにする必要があります。そして、もしなんらかの問題があってノイズが乗ってしまったときには、基本的には録音のし直しをすること。「ノイズが乗っちゃったから、後でとろう」という考えをしてはいけないのです。
どうしようもないときのノイズリダクション
ノイズリダクションは魔法のツールではないが、Audacity搭載のものなどうまく使うことで、有効活用できる |
たとえば、ずっと昔にテープに録音したものを、デジタル的に取り込んで再編集したいといったときに利用するのです。テープの場合、“サーッ”というヒスノイズがどうしても乗ってしまうので、これを取り除くことで、だいぶ音質を改善することができます。
ただし、ノイズリダクションは魔法のツールではありません。これを利用すれば、完全にキレイな形になるのではなく、ある程度マシになるという程度に考えるのがいいと思います。また、ノイズリダクションでノイズが取り除けても、本来の音が劣化するという問題もはらんでいます。つまり、強くノイズを取り除くと、本来の音も変質してしまうし、本来の音を残そうとすれば、ノイズがなかなか取り除けないということなのです。
それでも、ノイズリダクションも進化してきており、パソコン上で機能するソフトのノイズリダクションはかなりのことができます。現在いろいろなものがありますが、ここではオープンソースのフリーウェア、Audacityのノイズリダクション機能について見てみましょう。