ズバリ、アメトラ魂に火を付けるシリーズ!
Shetland Fox New England Collection・NORFOLKシリーズの外羽根式ロングウィングチップです。360度グッドイヤー・ウェルテッド製法やスコッチグレインレザーなど、文法通りのディテールに安心感を覚える方も多いのではないでしょうか? ただし履き心地は相当、進化させていますよ! |
続いてご説明申し上げますのは、New England Collectionの中にあるNORFOLKシリーズです。写真でもうお解りでしょうが、こちらはもう身震いしそうな位に問答無用のアメリカントラッド! その種の装いがお好きな方なら、小生がどうのこうの申し上げなくてもどう履いたらいいか回答が幾つもピョンピョン出てくるシリーズでしょう。抽象的な言葉尻が先行する割には、どう頭をひねっても一対一のコーディネートすら思いつけない「額面以上に高コスト体質な」紳士靴が氾濫する昨今、この存在は貴重かも知れません。
同じNew England Collectionでも、ASTORIAシリーズに比べこのNORFOLKシリーズは、甲周りの高さを更に低目にした分幅は僅かに太目に設計し、またトウシェイプを気持鋭角的に仕上げているのが大きな違いです。その「低さ」は、例えば2枚目の写真にある写真をご覧いただければ一目瞭然で、くるぶしを抉るトップラインの緩やかな弧や、鳩目周りとかかと双方の最上端がほぼ同じ高さにあることでご理解いただけるのではないでしょうか。どちらかと申せば素朴で若々しい印象が前面に出る前者に比べ、このシリーズは名前こそカントリーテイストながら、かつてのアメリカ東海岸の大都会に多くいた実直なビジネスマンが履いていた靴の面持ちです。
底付けが出し縫い全周の360度グッドイヤー・ウェルテッド製法であることと、ストームウェルト付きのダブルソール仕様なのはASTORIAシリーズと同様で、これらも言わば典型的なアメトラ文法に則ったもの。またアッパーには、この仕上げに関してもはや世界で右に出る者がいないフランス・アノネイ社のスコッチグレインカーフが主に用いられているのは、このメーカーらしい堅実な選択です。ディテールも革質も父性的な印象を持っているだけに、たとえアメトラ系の顔付きを一見していても、ナヨナヨしたカッティングや生地感を持った服だとこのシリーズの靴には存在感が負けてしまい、正直似合わないかも知れないのでその点だけ注意! ノスタルジーに浸るのは嫌いだけれど、「カネボウのカレッジフラノ」や「バーリントンのポリ混ホップサック」のような無骨ながらも頼りになる服地が、ああ今でも作られていたら……
【Shetland Fox New England Collection/NORFOLKシリーズ】
■スタイル : A.外羽根式5穴ロングウィングチップ、B.外羽根式5穴プレーントウ、C. 3穴チャッカブーツ
■色 : ブラック(全て)、バーガンディ(全て)、ブラウン(Bのみ)、ベージュスエード(Bのみ)、ホワイトスエード(Bのみ)
■アッパー素材 : フランス・アノネイ社製スコッチグレインカーフ。スエードはイタリア・シャラーダ社製吟付きスエード
■底付け製法 : 360度グッドイヤー・ウェルテッド。ストームウェルト仕様
■ソール素材 : オールレザーソール。ダブルソールオープントラック仕様。Bのベージュスエード・ホワイトスエードはつま先のみをレザーとしたナチュラルクレープソール仕様。
■サイズ : 5 1/2~9 1/2サイズ刻み。 いずれもJIS EEウィズ相当
■価格 : AとBは一足\44,100。C.は一足\45,150(いずれも税込み)
NORFOLKシリーズの側面を撮ってみました。トップラインのカーブや甲周りとかかとの最上端の高さの比較から、低目の造形を狙っているのが一目で解ります。ダブルソールが重厚な分、トウスプリングをしっかり付けているのも特徴。 |
NORFOLKシリーズの土踏まず部です。ソールが厚い分目立ちにくいですが、快適な着用感を出すべく抉るべきはしっかり抉っています。コバはこの部分のみエッジを丸めた「丸コバ仕様」にするなど、細かい演出にも手を抜いていません。 |
次のページでは、軽快なスリッポンのシリーズで締めましょうか!