男の靴・スニーカー/シューケア・手入れ

コードヴァンの革靴をケアする! その2(3ページ目)

今回の「シューケア技術向上講座」は、前回に引き続きコードヴァンの靴のケアについてです。履きこんだものや、他人とは違う風合いをお望みの場合に効果的なお手入れ用品について、詳しくご紹介致します。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

結構使える「馬の油」!

馬油様々
コードヴァンに輝きよりも柔らかさを求めたい方は、馬の油を少量用いるのがお勧め。最近は様々なものが出てきました。左:マスタングペースト \2,940 CAPT.STYLE。右:ソンバーユ無香料 \2,100 薬師堂。


世の中、人とは何か異なったことをやってみたいと考える方は案外多いものです。コードヴァンの靴でもそういう欲求って湧いてくるもので、「光沢は、敢えて鈍く出したい!」「あの独特な柔らかさだけ十分楽しみたいんだけど……」などという声を、結構聴くことがあるのです。そういう方には乳化性の靴クリームの代わりにホースオイル、つまり馬の脂肪からとれる油を少量用いてみることをお勧めします。

馬刺しが美味しい馬の肉をとる際に、副資源として出てくる脂肪を精製してこの種の油が作られ、特に「こうね油」と呼ばれるたてがみ部の脂肪からとれたものが高品質と言われています。酸化しやすい=長持ちしないせいか、動物由来の油としてはあまり有名ではありませんが、実は日本では傷や火傷などの治療用に、昔から広く使われているんですよ! この使用例からもお察しいただけるでしょうが、皮膚への浸透力に大変優れた油で、技術革新のおかげで油臭さがほとんどしないものも出来るようになったため、近年はレザーケアの分野以上に人間のスキンケアの分野で応用されはじめています。

お互い馬同士、というのもあるのかもしれませんが、前回「細かい針山のようなものがビッシリ詰まった面を半ば無理やり寝かせて鞣した革」と評したコードヴァンに対しても、浸透力に優れたホースオイルは少量で十分な効果を発揮します。オイルドレザーをケアする時と同様に、クリームを直に手で取って塗ってしまいましょう。一晩くらい放置してから馬毛ブラシで優しくブラッシング→乾拭きの手順を踏みましょう。上の写真でご紹介した商品のうち、マスタングペーストは革ジャンなどのケア用品として近年認知度が高まっている商品で、蜜蝋が少し含まれているので光沢が若干出るものの、他の靴クリームでケアした場合に比べ、明らかに重心が低く鈍い輝きになります。

一方ソンバーユは本来スキンケア用品ですので、あくまで「油」であって蝋分などは入りません。そのためコードヴァンに用いるとかなりマットで落ち着いた仕上がりになりますが、潤い感は決して損なわず革の硬化は確実に防げます。大きな薬局に行けば大抵売っていますし、仕上がりが好みに合わなかったら、スキンケアクリームとして使っちゃってください。ベト付かずスーっと肌に馴染んでゆくだけでなく、かぶれや乾燥肌に滅茶苦茶効くんですよ!



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