オイルドレザーの靴の特徴
やや解りづらいかもしれませんが、向かって左がケア後、右がケア前です。オイルドレザーの靴はその名の通り、油分の保持が長い付き合いにできるかどうかのポイントです。 |
オイルドレザーとは文字通り、通常より多くの油分が加えられて鞣される革で、光沢こそあまり出ないものの、油分の多さゆえ撥水性に富み、しかも革の厚さの割にしっとり柔らかい風合いに仕上がっているのが大きな特徴です。レッドウィングのアイリッシュセッターのようなワークブーツに使われている革、と言えばピンと来る方も多いでしょう。ケアの大きな鍵は、この「しっとりした風合い」をどう維持するか? になるわけです。
オイルドレザーの靴の手入れの仕方
では実際に、オイルドレザーの靴をケアする手順を追ってみましょう。スムースレザーの場合とは使うものが若干異なりますが、今までの記事をご覧いただいた方なら、全く難しくありませんよ!では、その「ミンクオイル」とは一体何なのか?
オイルドレザーにはミンクオイル等の油分が大切
オイルドレザーの靴をケアする時の頼みの綱が、写真中央のミンクオイルです。近年では他の原料由来だったり、それらを複合的に掛け合わせたオイルも数多く発売されています。 |
オイルドレザーの靴のケアに大切なのは、ツヤ出し以上にその撥水性やしっとりした風合いの根源である「油分」を適度に浸透・維持させること、これに尽きます。この目的に見事に合致し、化学組成的にも皮革と相性が良いため今日最も一般的に用いられているのが、「ミンクオイル」と呼ばれているものです。
スムースレザーの靴のケアに用いられる乳化性クリームの主成分は「水・油・蝋」、油性ワックスのそれは「蝋・油」でした。それに対しミンクオイルの主成分は圧倒的にオイル、つまり高級毛皮の代名詞・ミンクの毛皮が作られる際その皮下脂肪から抽出される「油」です。動物の皮革起原の油ですから、もちろん他の種類の皮革に用いることもありますが、オイルドレザーとの相性が一番良いのは、故に当然なのです。
もっとも今日では、例えば羊毛から採れる「ラノリン」、馬のたてがみの下部から採れる「こうね油(ホースオイル)」、牛のすねを煮沸して採れる「牛脚油(ニーツフットオイル)」ホホバの実から抽出される「ホホバオイル」など、ミンクオイルと似た効能を持つものが沢山出回っています。またこれらをベースに、革のツヤや防水性、それに柔軟性を増す目的で蜜蝋や樹脂、それに柔軟剤などを加えたレザーコンディショナー的なものも豊富です。実はこの辺りは通常の靴クリームとはまた異なる大変奥深い世界なのですが、それについてはいずれ機会があったらお話できればと思っております。
いずれを用いるにせよ、一回のケアではこれらを靴に大量に含ませないことが肝心です。過剰に与えてしまうと、柔軟性が必要以上に出てしまい、靴の型崩れの原因になってしまうからです。ちょうど我々が暴飲暴食すると、体型が崩れてしまうのと同じと考えるとわかりやすいでしょう。「ちょっと入れ過ぎたかな?」と感じたら、ブラッシングや乾拭きで調整して下さい。
オイルドレザーの靴は油分が多いため汚れも付きやすいですが、それがこびり付かないよう大汚れした直後にケアしてあげれば、いつまでもその撥水性やしっとり感を持続させることが可能です。またそうすることで小さなキズもほとんど目立たなくなるのも、何とも嬉しい点。「遊び」だからこそ事前・事後のフォローをしっかりしておくことが、長年の付き合いとなる一番の秘訣であることも、人間と同じかな?
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