焼き方には「直火焼き」と「間接焼き」がある

直火で焼いた焼き鳥は、表面はパリッと香ばしく、中身はふっくらジューシー

直火で焼いた焼き鳥は、表面はパリッと香ばしく、中身はふっくらジューシー

焼き方には、食材に直接火をあてて焼く方法「直火焼き」と、間接的に熱を加えて焼く方法「間接焼き」がある。どちらも、おいしく焼くためには火加減が最大のポイントで、焼きすぎは禁物。

肉や魚を「焼く」ことによって、表面のタンパク質を固め、旨味を逃がさず、栄養の流出を抑える。表面の水分が蒸発して焦げ目がつき、肉や魚に焦げの風味と香りが加わり、生ぐさみが消える。同時に脂肪も流出する。

食品の種類、大きさ、材料の配合、味つけ、加熱器具などによって焼き方の要領が違ってくる。熱源は、火力が一定で、平等にあたるものがよい。

■直火焼きの種類 
パプリカは直火でこんがり焼いて皮をむく

パプリカは直火でこんがり焼いて皮をむく

  • 串焼き……蒲焼き、バーベキュー
  • 網焼き……焼き魚、焼き餅
  • 機器焼き……グリル、ロースター、オーブントースターなどで焼くこと
  • いぶし焼き(薫製)……密閉した器の中で、香りの良い木くずやザラメなどをもやし、その煙と熱で食品をいぶし焼く調理法。その製品としてハム、ソーセージなどがある
※フレンチのグリエとは「網焼き」のこと。中国料理の「つるし焼き」も直火焼き

■間接焼きの種類
鯛のお腹に詰め物をして下味をつけてオーブンで蒸し焼きにした「肉詰め鯛のオーブン焼き」

鯛のお腹に詰め物をして下味をつけてオーブンで蒸し焼きにした「肉詰め鯛のオーブン焼き」

  • 素焼き……石を使って甘栗を焼く。ほうろく(素焼の平たい土鍋)で米やゴマを煎る
  • 油焼き……ステーキ、ホットケーキ、卵焼きなどをフライパンや鉄板に油をひいて焼く
  • 蒸し焼き……オーブンを使った天火焼き。アルミホイルなどを使った包み焼き。材料から出る水分だけ、または少量の水分を補って焼くことと蒸すことを併用させた調理法
※「ポワレ」とは鍋やフライパンを使って蒸し焼きにする調理法で、仕上がりはオーブンで焼くローストとあまり変わらない。「ロースト」は大きなものをオーブンに入れて時間をかけて焼く調理法

魚を網でおいしく焼くコツ

さんまのミリン干しは身の方から焼いて旨味を閉じ込める

さんまのミリン干しは身の方から焼いて旨味を閉じ込める

「魚は強火の遠火」とは、炭を使って魚を焼いていた時代の格言。魚を強火で焼くと、表面が急速に固まって、焼き色と風味をつけて旨味が外に逃げない。が、中まで火を通すためには、火が近すぎると焦げてしまうので、距離を取って均一に加熱できるようにするのが良いという意味。

■塩をふって臭みを抜く
  • 青魚は前もって塩をふって臭みを抜く
  • 白身の魚は焼く直前に塩をふる
  • 白身でも水分の多い魚は前もって塩をして水分を抜いておく(鮎はすぐに焼く。カマスは2時間ぐらいおいたほうが美味)
■基本は強火
  • 基本は強火で焼く
  • 厚みがある魚は、はじめは強火で焼き、焼き具合を見て、火を少し弱めて焼き、返して同様にして焼いて中まで火を通す
  • あまり箸でつつかず、返すのは1度だけ
  • 先に6割、返して4割といった気持ちで、おっとり焼く
■焼き網を使う場合は表から焼く
ガス台の上に焼き網を置いて下からの火で焼く場合と、ガス台についている上火のグリルで焼く場合とでは、焼き方が違う。焼き網にのせて焼くときや、串を打って火にかざして焼くときは、表になる方を先に焼く。切り口がある場合(開きや鯛の兜焼きなど)は切り口から焼いて、返して皮目を焼く。

■上火のグリルでは裏から焼く
ガス台についているグリルで焼くときは、盛りつけたときに裏になる面を先に焼き、ひっくり返して表を焼く。切り口がある魚は、切り口側を先に焼き、返して皮を焼く。

■網とグリルとで焼き方を逆にする理由
上火の場合、表を先に焼くと、裏を焼いてるうちに皮がしっとりしてしまい、こんがりと綺麗に焼きあがらないため。上下に熱源があるグリルなら、表を上にして焼いて良い。野菜を網焼きにするときは、表面に油をぬってから焼くと、水分が抜けずにおいしく焼き上がる。

■網焼きで焦げつかせないコツ
下味がついてる食品、特にみりんや味噌で味付けしたものは焦げやすいので、
火力を落として焼く。みそ漬けは、みそを洗い流してから焼く。網にこびりつきにくくするには、焼き網の表面を直接火にかざし、十分熱して火からおろし、網にハケで酢をぬって火にかけて魚をのせる。こびりつきにくい樹脂加工の焼き網が手ごろな値段で売られているので、それを購入するのも良い。

グリルを使ったさんまの塩焼きの手順

フライパンで焼いた「さんまの塩焼き」

フライパンで焼いた「さんまの塩焼き」

  1. さんまのウロコを落として洗い、5~10分前に塩をふる(ワタを抜く場合は、頭を切り落としてワタを引っ張って抜いて、腹の中を洗う。) 
  2. グリルに火をつけて温める。さんまをサッと洗って水気をふきとり、表の皮に切り込みを入れる。軽く塩をして、網の上に切り込み面を下にしてのせる。
  3. 強火でこんがりと焼き、フライ返しを使って軽く持ち上げて、転がすようにして返し、表になる面をこんがりと焼き上げる。

肉をフライパンでおいしく焼くコツ

■焼き方
ひひっくり返さずに油をかけながら焼いて、皮をパリパリに焼き上げた「鍋ローストチキン」

ひっくり返さずに油をかけながら焼いて、皮をパリパリに焼き上げた「鍋ローストチキン」

  1. フライパンをよく熱し、円を描くように油を入れる。
  2. 肉には焼く直前に塩コショウし、盛ったときに表になるほうを下にして入れ、焼き色がつくまで強火で焼く。
  3. 肉をひっくり返して強火で焼き、焼き色がついたら中火~弱火に落として中まで火を通す。

※しゃかしゃか動かさない方が、綺麗な焼き色がつく。みりんやしょう油などで下味をつけたものや、粉などをまぶしたものは、中火で、時々フライパンをゆすって、焦げつかないようにする

■油を入れるタイミングと油の量
フライパンにオリーブオイルとにんにくのスライスを入れ、弱火で熱してにんにくの香りを油につける

フライパンにオリーブオイルとにんにくのスライスを入れ、弱火で熱してにんにくの香りを油につける

フライパンや鍋をよく熱してから油を入れる。ただし、油にニンニクなどの香味野菜を入れてからゆっくり加熱して、油に香りを移すといった調理法もある。

樹脂加工のフライパンなど、油を引かなくてもくっつかないものもあるが、油は単にくっつかなくするためだけに使うのではなく、油の風味をつけるためでもあるので、少量でも引いたほうが旨味は増す。また、鶏肉のように、食品自身が持つ脂分を利用して焼く場合もある。材料や調理法によって加える油の量は違ってくる。

■フライパン焼きで焦げつかせないコツ
ぴったりの蓋がない場合は、アルミホイルで蓋をして、その上に鍋蓋をすると良い

ぴったりの蓋がない場合は、アルミホイルで蓋をして、その上に鍋蓋をすると良い

フライパンでポークソテーやビーフステーキを焼く場合は、強火であまり動かさずに焼いて綺麗な焼き色をつける。それに対して、下味をつけた肉や魚(鍋照り焼き、つけ焼きなど)や、小麦粉まぶした魚(ムニエル)、衣をつけた肉(ピカタなど)を焼く場合は、少し火力を落とし、時々フライパンをゆすって、焦げつかないようにする。ハンバーグなどの厚みがあって中まで火が通りにくいものを焼く場合は、ぴったりの蓋をして弱火で蒸し焼きにする。

ぴったりの蓋がなければ、アルミホイルでフライパンをぴったりとおおい、その上に鍋蓋をする。スープや酒を少量補って、焦げないようにする手もある。また、1回に焼く肉や魚の量とフライパンの大きさの関係も重要。並べた材料をフライパンの中でゆすって動かせる余裕がないといけない。


ビーフステーキを上手に焼く手順

  1. 肉は常温に15分置いて、焼く直前に塩コショウする。
  2. フライパンを火にかけ、薄く煙が立つくらいまで熱して油を入れる。
  3. 片面を強火で焼いて、おいしそうな焼き色がついてるのを確かめたら裏返し、肉汁を閉じ込める気持ちで焼く。
  4. あらかじめ付け合せを盛っておいた器に、焼けた肉を盛りつける。お好みで粒マスタードを添える。
  5. 焼いたフライパンでソースを作る場合は、焼き油を捨て、ブランデーを加えてアルコール分を飛ばす。そこにバター(お好みでしょう油少々も)を加えて溶かし、肉の上にかける。または、市販のステーキソースを注ぎ入れて温め、肉の上にかける。その間、焼いた肉にはアルミホイルをかぶせておく。

■ステーキの焼き加減の目安
ステーキの焼き加減には「レア(生焼き)」「ミディアム(中焼き)」「ウェルダン(完全焼き)」の3通りがある。焼け具合は、見た目と指先で確かめる。
  • レア……最強火でさっと焼いて両面に焼き色をつける。指先で押した感じは頬ぐらいの柔らかさ
  • ミディアム……片面を焼いて裏返して焼き、肉の表面から赤い肉汁がにじみ出てきたとき。指先で押した感じは耳たぶぐらい
  • ウェルダン……片面を焼いて裏返し、火を弱めて焼いて、表面から澄んだ肉汁が出てきたとき。指先で押した感触は、鼻の頭ぐらい
どんな焼き加減にしろ、肉の余熱で焼け具合が進むため、少し焼き足りないぐらいに焼き上げるのがコツ。その余熱を利用して、焼いた肉をアルミホイルで包んでしばらく置いて、肉汁を安定させるという方法もある。

■ステーキをおいしく焼くコツ
何度も返してはだめ。ヒレのように厚みのある肉の場合は、中火ぐらいで、焼き油をかけながら焼く。薄い肉を焼く場合は、両面にしっかり焼き色がつくのを待っていては、焼きすぎて固くなってしまうので、強火で表にしっかり焼き色つけて返し、裏面はさっと焼いて取り出す。

豆知識
サーロインステーキの名前のいわれは、英国のジェームス一世が、ビーフステーキを食べたさい、あまりのおいしさに感激して、そのとき食べた牛肉の部位「ロイン」にサーの称号を与えたと言われている。

あとがき

ストウブ鍋なら、豚のブロック肉と付け合せ野菜が一緒に蒸し焼きできる

ストウブ鍋なら、豚のブロック肉と付け合せ野菜が一緒に蒸し焼きできる

焼き方には「直火焼き(じかびやき」と「間接焼き(かんせつやき)」があると書きました。私が学校で学んだのは「直火焼き」でしたが、「直接焼き」と記載している料理本が手元にあります。焼き方のくくりも微妙に違います。
なので、呼び方にはあまりとらわれずに、いかにもおいしそうに焼きあげることを心がけて調理してください。

アジの塩焼きは、たとえ中まで火が通っていたとしても、皮がこんがり焼けていなければ、おいしさは半減してしまいます。ポークソテーが生白くては食欲がそそられません。焼き物は焦げ目が一番おいしいです。

しかし、アルミホイルなどで包んで焼いて、焦げ目をつけない調理法があります。本来は直火で焼くものを、フライパンで焼くこともあります。電子レンジで火を通して、表面だけをあぶって焦げ目をつけることもあります。住宅事情により、煙を出せない家庭もあると思います。どうぞ、ご自宅の環境にあった焼き方で、最もおいしい焼き物を作ってください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※衛生面および保存状態に起因して食中毒や体調不良を引き起こす場合があります。必ず清潔な状態で、正しい方法で行い、なるべく早めにお召し上がりください。また、持ち運びの際は保存方法に注意してください。