「所得」は社会保険料の金額を決める基準でもある

確定申告で社会保険料の軽減・免除が決まる?

確定申告で社会保険料の軽減・免除が決まる?

確定申告は「所得税の申告納付や納めすぎた所得税の還付申告をするためのもの」ですが、実はもうひとつ大きな役割を持っています。

確定申告で確定する所得(給与所得者の多くは年末調整で確定)は、次年度の住民税国民健康保険税国民年金保険料などの算出や軽減の基準にもなるのです。

まずは確定申告における合計所得金額の計算手順について確認した後、所得と住民税、国民健康保険税や国民年金保険料の算出や軽減との関係について順に解説していきます。

合計所得金額の計算の手順

所得税、住民税、国民健康保険税の算出や国民年金保険料の免除等の基準になる合計所得金額の計算手順を、「平成29年分所得税の確定申告の手引き 確定申告書A用確定申告書B用」の用紙に従って説明します。

1. 給与収入や年金収入、配当、株式等の譲渡益など1年間の収入を費目別(確定申告書Aの収入金額等ア~オ、確定申告書Bの収入金額等のア~サ)に記入します

2. それぞれの費目毎に異なった控除額の計算式に当てはめ、所得金額を算出します(確定申告書A…8~10ページ、確定申告書B…6~10ページを参照)

3. 損益通算できる収入(不動産収入、配当収入、給与収入、公的年金や執筆等の雑所得など)を通算します

4. 申告分離課税対象の株式や株式投資信託等の売却損益等を通算します(株式や株式投資信託を源泉徴収ありの特定口座以外で取引した場合は、申告義務があります)

※合計所得金額は、確定申告書Aでは5(合計1+2+3+4の欄)、確定申告書Bでは9に相当します。

なお、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に従って必要な金額等を入力すれば、合計所得金額だけでなく税額などが自動計算されて、確定申告書を作成することができます。

>>国税庁「平成29年分 確定申告書等作成コーナー」はこちら


確定申告では住民税の控除額も確認しておこう

住民税と所得税では、人的控除や保険料控除といった各種控除額が異なり、住民税のほうが控除額は少額です。例えば配偶者控除は、所得税は38万円に対し住民税は33万円と5万円も少ないのです。

配偶者控除を受けている妻(夫)が株式投資等で配当や譲渡益を得ているときは、所得税の還付だけでなく住民税を視野に入れて、確定申告する内容をチェックする必要があります。

所得と国民年金保険料の免除の関係

確定申告で確定した合計所得金額によって、国民年金保険の第一号被保険者は、保険料の免除制度(全額免除・3/4免除・半額免除・1/4免除)の適用を受けることができるか否かが決まります。具体的には表1の通りです。
国民年金保険料の免除制度一覧

日本年金機構と三島市役所のホームページを参考に筆者が作成(2018年1月10日現在変更なし)



>>三島市役所「国民年金保険料免除の所得基準の判定ラインの計算方法」はこちら

収入が少なく国民年金保険料の納付が厳しいと感じている人は、積極的に確定申告を行い、国民年金保険料の免除制度が利用できるようにしましょう。

所得税と国民健康保険料の保険料免除の関係

国民健康保険税(医療保険分・後期高齢者支援金分・介護保険分)(=以下「国民健康保険税」とする)も、確定申告で確定した合算所得金額を基に算出します。ただし、一部の人、例えば青色申告をしている人などは計算の基準となる合計金額が、確定申告で確定した合算所得金額と異なることがあるので注意が必要です。

所得税の確定申告では、青色申告控除や専従者への給与控除などを控除した後の所得が、年間所得となります。ところが国民健康保険税の算出では、これら青色申告控除や専従者給与などは控除対象外として扱われます。合算所得金額が「青色申告控除額+専従者給与」分だけアップすることになり、その分保険料が高くなってしまいます。

例えば所得税の確定申告で合算所得が100万円(青色申告控除10万円、専従者の給与60万円)の自営業者の場合、国民健康保険税を算出する合算所得は、100万円+10万円+60万円=170万円を使います。

国民健康保険税の計算式は大枠はあるものの、表2のように地方自治体が独自に決めることができるので、居住している地方自治体の窓口やホームページで確認しましょう。 

3つの自治体の国民健康保険税を比較一覧表

A市、B市、C市の市役所のホームページを参考に筆者が2018年1月10日に作成した。


なお、国民健康保険税にも低所得者世帯に対する軽減措置があり、被保険者均等割額(均等割額)と世帯別平等割額(平等割額)が軽減されます。

【軽減判定基準】
・7割軽減:前年の総所得金額が「33万円」以下の世帯
・5割軽減:33万円+(27万円×国保加入者及び特定同一世帯所属者の人数)以下
・2割軽減:33万円+(49万円×国保加入者及び特定同一世帯所属者の人数)以下

※特定同一世帯所属者とは、後期高齢者医療制度の被保険者(75歳以上)になり、国民健康保険の資格を喪失した人で、引き続き国民健康保険の同一世帯に属する人のこと

このように確定申告で確定した合計所得金額は、住民税や国民健康保険税などの算出の基になるだけでなく、様々な軽減措置の判定基準にもなります。

配当金等の還付を考えている人は、還付される金額だけでなく、世帯の所得金額が増えることによる国民年金保険料や国民健康保険税・介護保険税への影響をチェックする必要があります。軽減措置の適用基準額等を含め詳細に比較検討し、「還付申告したら損をした!」とならないように注意してください。

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