年金/遺族年金の仕組み

自営業者に厳しい遺族年金制度(3ページ目)

家計の大黒柱に万が一のことがあったときの所得保障である遺族年金ですが、自営業者にとっては厳しい制度になっています。この実態をケーススタディー形式で検証してみます。これから脱サラを考えている方も必見!

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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自営業者におすすめの遺族保障の方法とは?

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自助努力の遺族保障額については、職業、家族構成、家族の収入の有無、持ち家かどうか等総合的に検討したい

以上のように、自営業者の家族に対する公的年金からの遺族の給付は、非常に少なく心もとないものになっています。

従って一般論として、サラリーマンよりも自営業者の方が遺族に対する保障は手厚く用意しておく必要があります。

自助努力部分の遺族保障を民間の生命保険で賄うことも当然必要ですが、自営業者だからこそできる自助努力を考えてみたいと思います。

●自営業者の退職金制度「小規模企業共済」への加入
まず自営業者の退職金制度である「小規模企業共済」に加入することです。この小規模企業共済は、自営業を廃業、事業譲渡時に共済金という名の退職金が支給される他、死亡時にも共済金が支払われることになります。掛金は全額所得控除になりますし、掛金の範囲内で借入もできます。詳しくは小規模企業共済ホームページを参考にして下さい。

●事業を法人化して、厚生年金に加入
また、Aさんは自営業者であるかぎり、厚生年金には加入できません。しかし、Aさんの事業を法人化して、Aさんが役員になることで厚生年金に加入するという手段も考えられます。

厚生年金については、法人は強制的に加入し、役員も加入することになります。Aさんが厚生年金加入中に死亡した場合、奥さんに遺族厚生年金が支給されることになりますし、Aさん自身厚生年金に加入した期間分の老後の年金も増えることになります。

また、奥さんを扶養にすることができれば、奥さんは国民年金の保険料を払う必要がなくなるメリット(いわゆる第3号被保険者)もあります。年金のためだけに法人化するのは本末転倒ですが、諸事情が許せば検討する価値はあると思います。

脱サラ時には、必ず遺族保障の見直しを!

この2つの対策は、自営業者の皆さんができる対策です。この2つの対策は、遺族保障だけでなく老後保障の増額対策としても充分利用できるところが魅力的です。

既に自営業者の方はもちろん、これから脱サラ起業しようと考えている方についてもサラリーマンから自営業者に転向する際に、必ず自助努力部分の遺族保障について見直す必要が出てきますから。是非頭にいれておいていただきたいですね。

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